歪んだ月が愛しくて1
Prrr…
その時、俺のスマートフォンが鳴った。
着信は未空からだった。
「……何だ?」
『あ、尊が2コールで出た』
「前置きはいい。用件は何だ?」
『もうカリカリしちゃって、カルシウムが足りないんじゃない?』
「切るぞ」
『あ、切らないで!用件はねリカのことなの!』
「立夏?」
その名前が出た途端、俺の中で初めて焦りが生まれた。
「アイツが、どうかしたのか?」
『リカが帰って来ないんだよ。肝試しでスタートしてからもう1時間以上経つのに連絡も取れないんだ』
「帰って来ねぇだと…」
俺の焦りが表に出ていたのか隣にいる九澄が「どうかしたんですか…?」と眉を顰める。
咄嗟にスマートフォンを耳から離してスピーカーに切り替えた。
「立夏のペアは誰だ?」
『頼稀だよ、風魔頼稀!』
アイツか…。
確か風魔は九條院の従者だったな。
ふと先程の光景が脳裏に過ぎる。
立夏の手の甲に唇を寄せる、あの男。
(気に入らねぇな…)
『…ぇ……ねぇってば、尊聞いてる?』
「あ、ああ…」
『それでね、リカに電話しても繋がんないからカメラでリカの居場所を確認して欲しいんだ』
「分かった」
そう言って九澄に視線をやれば既にパソコンを操作していた。
『それともう一つ話して置きたいことがあるんだけど』