歪んだ月が愛しくて1
「何だ?」
『1時間半くらい前のことだけど森の中で変な集団を見たんだ』
「変な集団?」
『うん。何かチャラチャラした連中で全員男だった。15人くらいはいたと思うよ』
さっきの侵入者のことか。
未空がその目で確認したと言うことはこの学園内にまだその侵入者とやらが潜んでいると言うことになる。
……まずいな。一般生徒に被害が及ぶ前に手を打たないとあの男が黙ってない。
「奴等がどこに行ったか分かるか?」
『分かんない。俺もその時ペアの子と逸れそうになってたから見失っちゃって…』
「そうか…」
『でもうちの生徒じゃないと思う。だから何か…、何て言ったらいいか分かんないけど嫌な予感がするんだ…』
その言葉に思わず身構えた。
未空の直感はよく当たる。それは空と大地を味方につけた天性のものだろう。
「……お前はそれと立夏が帰って来ないことに何か関係があると思ってるのか?」
『分からない。でも白樺のこともあったし親衛隊が何するか分からないから心配で…。だからお願い!早くリカを見つけてっ!』
未空は感情を剥き出しに声を荒げる。
遠くの方ではドンッと鈍い衝撃音が聞こえた。
「今九澄が確認中だ。お前は今どこにいる?」
『中庭だよ』
「そっちに陽嗣を向ける。お前等で連中の侵入口を確認しろ。そこに車かバイクが止まってるはずだ」
『待ち伏せしろってこと?』
「ナンバーと台数を確認すればいい。余計なことはするな」
『分かった。でも誰がリカを捜しに行くの?』
「俺が行く。お前は陽嗣が行くまでそこを動くな」
そう言って一方的に電話を切った。
「陽嗣、聞いてた通りだ」
「はいよ。連中の前足を掴めってことね」
「九澄」
「裏庭の12番カメラに立夏くんと風魔くんの姿を確認しました。最後にカメラに映った時間は今から10分前です」
「12番?」
「例の祠から北に300メートルの位置です」
「分かった。お前はここに残って立夏の動きを確認しろ。あの男にも釘を刺して置け」
「分かりました。立夏くんのことお願いしますね」
「任せたぜ。もし万が一また親衛隊が絡んでたら…」
「ああ、次は容赦しねぇよ」