歪んだ月が愛しくて1
「ぼっ、僕が…、この僕がブス!?は、はははっ、笑わせてくれんじゃん!僕が美しいからって僻んでんじゃないよ!」
キーキーと、月は不快な声を荒げる。
ここはどこの動物園だ。猿はとっとと山に帰って糞して死ね。
おっと、それは猿に失礼か。ソーリー。
「フッ、男の嫉妬は醜いね。お前のような顔も心も醜い奴がどうやって覇王様に取り入ったのか不思議で仕方ないよ。ねぇ、どんな手を使って生徒会に入ったの?やっぱり純真無垢な未空様を誑かしたの?」
ピクッと目元が動く。
「未空様って本当穢れを知らないバブちゃんみたいなお人だよね?人が良いと言うか騙され易いと言うか…。そう言うところに母性を感じて好きになっちゃう子もいるみたいだけど。まあでも僕は未空様専属部隊のリーダーではあるけど本命は…」
「未空は関係ない。アンタも覇王親衛隊なら未空を貶すようなこと言ってんじゃねぇよ」
「っ、……お、お前が未空様の傍にいるせいだろう!」
「は?」
「お前が未空様の傍をウロチョロしてるからそのせいで未空様にまで有らぬ疑いを掛けられるんだ!全部お前が悪いんだよ!」
「……だから関係のない希まで巻き込んだのか?」
「っ、そ、だよ!」
一瞬、月は表情を強張らせた。
その表情に僅かな違和感を覚える。
「希はどこだ?」
「ふん、僕がそう易々と教えると思うの?」
「あ?」
「誰が教えてやるもんか。お前がいけないんだよ。白樺さんに警告されたの忘れたの?大人しくしていればいいものを余計なことするからこうなるんだよ」
「………」
そう言って月はどこからかビデオカメラを取り出して男達を手招きする。
「なーに月ちゃん?」
「そっちの話は終わったぁ?」
「これ以上不細工と話すことなんてないよ。そっちは準備出来たわけ?」
「バッチシ」
月はその言葉に満足げな笑みを浮かべた。
(成程ね…)
男達の手には鉄パイプや金属バットが握られていた。
それだけでこれから先の行動が手に取るように分かった。
「藤岡立夏、お前はこれからコイツ等にじっくりと甚振られるんだよ。大丈夫、痛いのは最初だけだから」
うっとりするような声色。
但し発言はゲス極まりないが。
「大丈夫、怖くないよ。僕がちゃーんとこれで撮ってあげるから」
やっぱりゲスだ。