歪んだ月が愛しくて1



未空Side





尊に電話した後、俺はアオ達と別れて尊に言われた通り中庭でヨージを待っていた。
ヨージが中庭に現れたのはそれから10分後のことだった。



「おっまた〜」

「陽嗣!」



暢気に手を振って現れたヨージにイラッとした。



「遅ぇよ!何モタモタしてんだよ!」

「そうカリカリしなさんな。焦ったって良いことはねぇぜ」

「これが焦らずにいられるか!こうしてる間にもリカに危険が迫ってるかもしれないのに!」

「だからってお前が焦ったところで状況は変わらねぇだろう」

「っ、」



やけに冷静なヨージに温度差を感じた。

それは一言で言うならリカに対する想いの差だ。



「……何だよ、それ」



何でそんなこと言えるんだよ。

意味分かんねぇよ。



俺は感情に身を委ねてヨージの胸倉を掴んで声を荒げる。



「リカは、俺達の仲間じゃねぇのかよっ!?」



ヨージがリカのことを良く思ってないのは分かってる。



「何でっ、何でそんな突き放すみたいなこと…」



その理由も。



「落ち着けよ」



でも堪らない。

リカのことを想うだけで堪らなくて仕方なかった。



「ヨージはリカのこと好きじゃないからそんなことが言えるんだよ!リカが邪魔だから!」

「………」

「でも俺は違うんだよ!リカのことが大好きなんだよ!だから心配で、こんな状況で落ち着けるわけない…、」



不意にヨージは俺の胸倉を掴んで力強く引き寄せた。



「お前の言う通り俺はりっちゃんのことを“仲間”なんて思っちゃいねぇよ」

「、」



その言葉にヨージの胸倉を掴んでいた手に力が入る。



「でもな、いくら俺でもオメー等の大切な“仲間”をオメオメ見捨てるほど落ちぶれちゃいねぇんだよ」

「え…」



そう言ってヨージの手がゆっくりと胸倉から離れていく。


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