歪んだ月が愛しくて1
「俺とお前は別々の人間だ。一緒の感情なんて持ち合わせちゃいねぇ。俺にとってりっちゃんが邪魔者でもお前にとっては大切な人であるようにな」
「………」
俺もヨージの胸倉から手を離して、そのまま見つめる。
「だからこそ俺がここにいる。お前が暴走すんのは目に見えてたし、そのお目付け役に選ばれたってわけだ」
「ヨージ…」
ヨージはちゃんと見てくれていた。
憎まれ口叩いても、自分が悪者になっても。
こう言う時に感じる俺とヨージの差。
精神年齢は一緒だと思ってたのに、クソ…。
「今尊がりっちゃんを捜しに行ってる。九澄もカメラの映像からりっちゃんを捜してるんだ。だから俺達も俺達に出来ることをしようぜ」
「俺に、出来ること…」
「連中の侵入経路を見つけること。その近くにきっと奴等の足もあるはずだ。そんで俺達は連中が何者かを突き止める」
陽嗣の真剣な表情に俺の頭は次第に冷静さを取り戻していく。
……俺、格好悪ぃな。
リカが帰って来ないことに不安になって、どうしていいか分からなくなって尊に助けを求めて。
ああ、また皆に迷惑掛けちゃったな。
お荷物だけにはなりたくないと思ってたのに。
でも結局は俺自身の力なんてこれっぽっちで、何も出来ない自分がもどかしくてイライラしてヨージに八つ当たりまでしてしまった。
「格好悪ぃ…」
「くくっ、今に始まったことかよ」
「俺って前から格好悪い?」
「大分」
「マジか」
でも改めて思う。俺は皆に出会えて良かった。
いくらヨージがリカのことを邪魔者だと思っていても、それでも俺にとってはリカもヨージも大切な仲間だから俺の気持ちは変わらない。
いいんだ。
別々の人間なんだからそれぞれの想いがあったって。
「……ごめん」
「良いってことよ。んじゃ行くか」
「おう!」
だから俺も自分の想いを突き通す。