歪んだ月が愛しくて1
料理を待ってる間、食堂内を見渡す。
食堂は昼時と言うこともあり大勢の人数で溢れ返り席に座れずに食堂の外で待っている生徒が何人もいた。
運良く席を確保出来た俺達はタイミングが良かったらしい。
「なあ、トイレってどこ?」
「お行儀悪いぞ眼鏡ちゃん」
「食堂を出て左、突き当りを右。分かるか?」
「………多分」
「一緒に行こうか?」
「大丈夫」
いくら俺でもそこまで方向音痴じゃない………はず。
トイレは食堂から少し離れたところにあった。
希には行儀悪いって言われたがトイレに来て正解だった。
あそこで我慢してたら大変なことになってたかもしれない。
用を足して洗面台で手を洗っていると複数の足音が近付いて来るのが分かった。
「そういや、今日じゃねぇか?」
「ああ、例の転入生ッスね」
「実物見た?」
「それがまだ拝めてなくて」
「そりゃ残念」
「後で乗り込む……ん?」
「おい、あれ…」
「……もしかして、コイツか?」
男子トイレに入って来た5人組の男子生徒はトイレ内に入って来るや洗面台で手を洗っている俺と鏡越しで目が合うと何やらこそこそと話し始めた。
話の内容までは聞こえなかったが、恐らく転入生が珍しいんだろう。
それともまた「何でうちの学園にこんな貧乏人が」みたいなあれか。
俺だって好きでこんなところに来たんじゃないのにどいつもコイツも勝手なこと言いやがって不愉快極まりない。
居心地の悪さから早々にトイレから出て行こうとすると、そんな俺の行く手を男達の手が阻んだ。
「……何?」
男達はニヤニヤした顔で俺に話し掛ける。
「君、見ない顔だね。かーわい」
は?
可愛い?
「何組の子?」
「もしかして1年C組?」
「今日来た外部生ってお前か?」
「外部生?」
……あ、俺か。