歪んだ月が愛しくて1
「全て俺の責任です」
分かってるんだ。
今更そんなこと言ったところで後の祭りだって。
「巻き込んですいませんでした」
「………」
でも、それしか出来なかった。
謝罪以外の償いの仕方が俺には分からなかった。
あの時もそうだった。
地面に蹲るアイツに俺はその身体を抱き締めながら謝ることしか出来なかった。
だから逃げた。謝罪の言葉しか見つからない自分が惨めで悔しくて、ベッドで横たわるアイツに何もしてやれないことがもどかしくて。
『お前の居場所はそこじゃない』
そんなこと分かってんだよ。
分かっていても離れることが出来なかった。
彼等の傍はあまりにも居心地が良くて目前に迫っていた現実から目を背けていた。
でも青白い顔でベッドに横たわるアイツを見てやっと目が覚めた。
「……お前が謝ることじゃないと言ったはずだぞ」
俺はここにいるべきじゃない、と…。
「立夏くんが気に病む必要はありませんよ」
「そうだよ!リカは何も悪くないんだから!」
「そうそう、悪いのはりっちゃんを襲おうとした恐極だろう?」
皆は口々に俺のせいじゃないと言うが。
『お前に責任はない。俺は俺の意思でこうなることを選んだ』
『立夏くんにとって理解出来ないことであっても、それを決めるのもそれを実行に移すのも尊が決めることであって尊自身の責任です』
何度思い返しても分からない。
その言葉の意味も、どうしてあの状況で俺のせいじゃないと言い切れるのかも。
「……それでも、俺が原因で会長に怪我をさせてしまったことに変わりありませんから」
……分からないよ。
「リカ…」
「………」
でも俺が望んでいるのは同情でも赦免でもない。
決して許さないで。
こっちに入って来ないで。
境界線を破らないで。
俺は、―――死神なんだから。