歪んだ月が愛しくて1
食堂に戻ると俺達の姿を見つけた希と葵が手を振って迎えてくれた。
「お、戻って来た」
「立夏くん遅かったね」
「腹でも下したかー?」
待ちくたびれた希がケラケラと笑いながら下品なことを言うと、葵が「ご飯中だよ」と言って肘で希の脇腹を突く。
「でも何かあったの?随分遅かったから心配してたんだよ」
心配?
「………」
「立夏くん?」
葵は首を傾げて下から俺の顔を覗き込む。
「………」
「ん?」
さっきの未空もそうだが何で俺は心配されているのだろうか。
他人のことなんて放って置けばいいものを。
「……別に、理解出来ないと思っただけ」
「え?」
俺の皆に対する態度はお世辞にも良くない。
勿論態とやってるから自覚済みだ。
だから必要以上に踏み込まないで欲しい。
心配なんてされたくないし、俺には心配してもらう資格すらないのだから。
不意にポンッと俺の肩に誰かの手が置かれる。
「リカは生理なんだよね!」
………は?
「え、でも立夏くんは…」
「俺男なんだけど」
「うっそん、知らなかったわ!」
「……殴っていい?」
「いいんじゃね未空だし」
「まあ、未空だからな」
「え、いいの!?」
いいんだ。
「生理かどうかは兎も角、俺達が行った時には既にトイレの花子状態だったぞ」
「誰が花子だ」
生理の次はトイレの花子かよ。
好き勝手言ってくれるな。
文句を言ってやろうと未空と頼稀を睨み付けると、反対に2人は含みのある笑みを浮かべて俺を見つめていた。
(……ああ、そう言うこと)
2人は葵達に心配掛けないようにトイレでのことをあえて話さないつもりなのか。
だからって生理はない。言い訳が無理過ぎる。