歪んだ月が愛しくて1



未空Side





「………」



リカと九ちゃんが生徒会室を去った後、ヨージは何かを待つように窓際に立ち険しい顔をして窓の向こうを眺めていた。



“何か”じゃなくて“誰か”の間違いか。

当然誰かさんの検討も付いていた。



(隠す気ねぇな…)



そう思うくらい感情が駄々漏れのヨージ。
まあ、隠す相手がいなければ駄々漏れにもなるか。
でもそんな顔するくらいなら一言「行くな」って言えば良かったのに。
端から見てるこっちの身にもなって欲しいよ、お互いにね。



「気になるなら追えばいいだろう」

「、」



ギクッと、ヨージは尊の言葉に大袈裟に反応した。

……分かり易い奴。



「だ、れがっ!」

「「お前だよ」」

「ち、違ぇよ!俺はただりっちゃんの帰りが遅いから心配で!」

「白々しい」

「うわっ、その言い訳はないわ。引く」

「言い訳じゃねぇよ!俺は本当に…っ」

「九澄が望んだことだ」

「、」



途端、ヨージが言葉を詰まらせた。



「九澄もバカじゃない。考えなしの行動じゃねぇのはお前だって分かってるだろう?」

「………」



その言葉にヨージは押し黙った。
何も言い返せなかったんだと思う。
いや、言葉が見つからなかったのかもしれない。
今回に関して言えば俺が同じ立場でも何も言えなかったと思う。
だってあの時の九ちゃんの目は覚悟していた。リカに踏み込まれることを。救われたいと願っているようにも見えた。
だから尊はリカと九ちゃんを一緒に行かせた。
九ちゃんの気持ちを汲んでリカに九ちゃんのことを任せたんだ。
リカなら九ちゃんの心の澱を受け入れてくれるんじゃないかと信じて。



「……分かってる。でもこんな時に独りで行かせたくなかっただけだ」



ああ、そうか。

だからヨージは…。



「「素直じゃねぇ奴」」

「だっから何でオメー等は揃いも揃ってハモんだよ!態とか!?」

「ヨージが分かり易いからじゃん」

「お前、隠し事出来ねぇタイプだろう?」

「煩ぇ!オメー等にだけは言われたくねぇんだよ!」

「それはこっちの台詞だ」

「うん。ヨージにだけは言われたくない」

「何でだよ!?」



自分で言うのもなんだけど俺達って本当仲良いな。


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