歪んだ月が愛しくて1

寮長




俺達は昼食を済ませて学生棟1階の談話室に場所を移した。



「あのさ、ここって入学式ないの?」

「ない」



即答かよ。



「聖学が幼稚舎から大学院までの一貫校なのは知ってるよな?」

「うん」

「ここの入学式は幼稚舎と初等部だけなんだよ。僕と頼稀くんは初等部からだから入学式はあったよね」

「ああ」

「未空と希は?」

「俺達は中等部からの入学。だから入学式はやってないよ」

「じゃあ2人はここの小学校じゃないんだ」

「おう、地元のとこ通ってたよ」

「うん…」



微かに未空の表情が曇る。
若干口元が引き攣った程度だから多分他の人は気付いていない。
だから俺も気付かないふりをして未空から視線を逸らした。



「因みにクラス替えも殆どないんだよ」

「ここはS~Dまで家柄とか学力とかその他諸々上から順に決められてるから滅多なことがない限り入学時からずっと一緒なんだ」

「じゃあ4人も…」

「中等部からずっと一緒」



通りで仲が良いわけだ。

……待てよ。じゃあ俺もこのまま卒業するまでの3年間ずっとこの面子と過ごすことになるのか?

それはちょっと…、微妙だな。



「でも不思議なんだよな」



そう切り出したのは希だった。



「何が?」

「立夏が転入して来たこと」



俺?



「あ、それは僕も思った」

「だろう。不思議なんだよなぁ〜」

「……何が不思議?」

「聖学はね、中等部までの入学枠はあるんだけど高等部からの編入は基本的には認められてないんだ」

「え…」



じゃあ何で俺入学出来たんだろう、と出掛けた言葉を飲み込む。
俺の脳裏に一瞬だけ文月さんの顔が浮かんだからだ。



「そう言った意味でもお前は注目されてるってことだ」

「何たって特例だもんな」

「特例…」


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