歪んだ月が愛しくて1
不思議とか、特例とか、そんなこと言われても不愉快でしかない。
だからこんなところ来たくなかったんだ。
態々注目されるようなに仕向けやがって。
今はまだ文月さんとの関係を知られていないからいいが、これで俺が文月さんの親戚だと知られたら影で何言われるか分かったものじゃない。
……いや、本当はそんなことどうでもいい。
昔からそう言うのには慣れてるし今更って感じもある。
ただ俺は文月さんと…、あの一家と関係があると思われるのが嫌で嫌で仕方なかった。
決して責められる立場じゃないし俺の方こそ責められなきゃいけないのは分かってる。それでも関わり合いたくない。
例えそれが醜い悪足掻きであっても今はまだ抵抗する力があるから…。
『でもリカって本当はそう言うの気にしない人でしょう』
だからって出来るだけ注目されるようなことは避けたいし悪目立ちなんて以ての外だ。
知ったようなこと言いやがって…。
「そう言えば立夏くんってどこから来たの?」
「東都」
「東都のどこ?」
「……白羊」
「白羊!?マジで!?偶然じゃん、俺達の実家も白羊なんだよ!」
「俺達?」
「俺と頼稀」
「2人って家近いの?」
「頼稀と?近いよ、だってお向かいさんだもん」
「2人は幼馴染みで昔から仲が良いんだよ」
「へー…」
「立夏が白羊ってことは近所かもな」
「かもね」
「小学校どこ?もしかして一緒かも」
「あー……忘れた」
「は?普通忘れないだろうそれ」
「忘れたもんは忘れたの」
「秘密主義かよ」と言って拗ねる希を横目に溜息を吐くと、不意に口元を歪ませる頼稀と目が合った。何もかも見透かしたような不気味な瞳と。
「……頼稀」
「何だ?」
「あのさ、前に俺と会ったことない…?」
「………」
ずっと気になっていた。
俺はどこかでこの瞳を見たことがある。