歪んだ月が愛しくて1
「……そんなに覇王のこと嫌い?」
「うざい」
「は?」
頼稀から返って来た答えは予想外のものだった。
頼稀は掃除を中断すると腕を組んで壁に寄り掛かる。
「元々覇王については何の感情も持ってない。ただ未空とは中等部から同じクラスでよく一緒にいるってだけのこと。それも希や葵がいたからだ。特別仲が良いわけじゃない。それはお前も見てて分かるだろう?」
「……うん」
「別に未空を嫌ってるわけじゃない。アイツの存在はそれなりに重要だ。希と葵のためにもいてもらわないと困る。それにお前も結構気に入ってるようだしな」
「……要するに未空以外のあの3人が嫌いってこと?」
「好きでも嫌いでもねぇよ。それに覇王の存在を疎ましく思うようになったのはお前がここに転入して来てからだ」
「俺?」
「お前が連中の目に留まるのは分かってた。あの頃と違ってもお前の容姿は目立つ。案の定神代会長はお前の性格を見抜き、態と挑発するようなことを言ってお前が自分から生徒会に入るように仕向けた。入った後のことまで考えずにな」
「悪かったな、単純で」
「褒めてんだよ」
「平気な顔して嘘吐くなよ。てか入った後のことって何?もしかして親衛隊のこと言ってる?」
「それ以外に何がある」
いや、そんな睨まなくてもいいじゃん。
「だから俺は生徒会に入るのを反対したんだ。紀田にも転入初日に言われただろう?」
「……地獄耳」
「職業病なんでね」