歪んだ月が愛しくて1
「用件がそれだけなら俺は…」
そう言って2人の前から消えようとした時、不意に腕を掴まれた。
「分っかんねぇな」
俺を引き止めたのは意外にも御幸陽嗣の方だった。
「お前デキてんの?りっちゃんと」
「は?」
何を言い出すかと思えばくだらない。
俺は御幸陽嗣の腕を強引に振り払った。
「んなわけ…「えぇぇえええ!!頼稀、リカのこと好きだったの!?てか付き合ってるなんて聞いてないんだけどぉ!!」
しかし俺の声は未空のバカでかい声によって遮られた。
そのバカみたいな考えを否定するために未空の頭を一発殴って黙らせた。
「煩ぇ。話は最後までちゃんと聞け。誰がいつ付き合ってるなんて言った?」
「だってヨージが…」
「付き合ってねぇよ」
簡単に信じるな、バカ。
「アンタも紛らわしいこと言うのやめてもらえます?」
「そうだよ!元はと言えばヨージがあんなこと言うから悪いんだろう!」
「だってそう思ったんだも〜ん」
「「キモイ」」
「態とだよ」
もん、じゃねぇよ。
マジで気持ち悪ぃな。
「てかさ、デキてねぇなら何でりっちゃんに構うわけ?単なるクラスメイトなんだろう?あ、もしかして片想いとか?」
「えっ、じゃあやっぱりリカのこと…」
「違ぇよ」
話が進まない。
このペア、想像以上に面倒臭ぇな。
「聞きたいことがあるならはっきり言えば?」
俺は一向に話が進まないことにイライラして御幸陽嗣を睨み付ける。
「そんじゃはっきり言わせてもらうけど、お前が単なるクラスメイトのりっちゃんに構う理由は何?」
それでも御幸陽嗣の表情は変わることなく俺を挑発するようなニタニタした気持ち悪い笑みを浮かべていた。
「俺も色々と考えてみたんだよね。でも現状何も思い付かねぇのよ」
でもふざけた口調のくせにその目は獣のように鋭く尖っていた。
「ましてやお前は“B2”の人間だろう。態々仲間使ってまでりっちゃんを傷付けた奴等を懲らしめる理由があるとしたら…、それは“単なるクラスメイト”じゃねぇってことになるよな?」
「………」
疑念か。好奇心か。
「教えてくれよ。お前とりっちゃんを繋ぐものが何なのか」
どちらにせよ簡単に教えてやるつもりはないけどな。