歪んだ月が愛しくて1
「………よし、決めた」
未空は突然椅子から立ち上がったかと思えば滅多に見せない真剣な顔をしていた。
「俺、正式に作ろうと思う」
「「「何を?」」」
「お前、まさか…」
「ふふっ、そのまさかだよ!」
「……何、その不気味な笑みは?」
怖いんだけど。
「皆の諸君!心して聞け!」
バンッと、未空は両手で机を叩き態と大きな音を立てて皆の注目を集めた。
案の定その音に先程まで話に入っていなかったクラスメイト達も反応し、未空はクラス中の注目を集めながら高々に声を張り上げて宣言した。
「俺は宣言する!今日ここに“藤岡立夏防衛隊”を結成することを!」
………は?
え、どゆこと?
「何それ!超面白そうじゃん!俺も入る!」
いやいやいや、待て。
何が?どこが面白そうなの?
全く持って意味が分からない。
「それって立夏くんを守る会ってことだよね!僕も入りたい!」
「勿論大歓迎だぜ!因みに頼稀は強制な!」
「は?何で俺まで…」
「だって頼稀は副隊長じゃん。この前もノリノリだったし」
「あれはお前の話しに合わせてやっただけだ」
「いいじゃん。頼稀が入ってくれた方が何かとべん……心強いし!」
「おい、今便利って言おうとしただろう?」
「空耳だよ」
「お前な…」
「もう頼ちゃんは頭固ぇな」
「頼ちゃん言うな」
「頼稀くんも入ろうよ。それで立夏くんに近付く悪い虫を一緒に排除しよう!」
「お、アオやる気じゃん!」
「当然だよ!僕だって立夏くんのこと大好きなんだもん!」
「まあ、好きだから入るんだけどな」
「でもリカは俺のだからね!」
「いやいや、待って可笑しいから!てか防衛隊って何?もしかしてそれってこの前適当に言ったあれのこと?」
「適当じゃないよ!俺は至って本気だったもん!俺達がリカを守るよ!」
「ま、守るって…」
「だってリカに親衛隊が出来るってことはそれだけリカが綺麗で可愛いってことなんだよ!逆を言えばそれだけリカが変態野郎から狙われるってこと!分かった?」
「ごめん、分からない」
「何で分からないのさ!?」
そもそも本当に親衛隊が出来るかどうかも分からないのに気が早い。早過ぎる。
「無自覚って怖いね」
「ある意味最強だな」
「はぁ…」
溜息吐きたいのはこっちだよ。