歪んだ月が愛しくて1
「リカ、白状して」
気付けば目の前には未空の顔があった。しかも背後には窓ガラスで正に八方塞がりの状態だった。
そんな俺達の様子にクラスメイト達は興味津々とばかりに注目していた。
未空は分かっているんだろうか。
自分がどれほど周囲から注目を集めているのか。
未空だけじゃない。ランキング上位者の頼稀達だって学園ではかなり目立つ存在だ。
最近では未空達以外のクラスメイトと話すことも増えたが他クラスの生徒との関わりはほぼゼロに近い。
それはそれで有難いことだがどうやら俺は完全に浮いた存在になってしまったらしい。オタクヤンキーとまで変なあだ名を付けられて不本意極まりない。それもこれも未空の……いや、覇王の影響力と言っても過言ではないだろう。
「ねぇ、どこ見てるの?」
俺が周囲の視線を気にしていると未空の不機嫌そうな声色が聞こえて来た。
「周りが気になるの?目の前に俺がいるのに…。なら俺しか見えないようにしてあげる」
「え、」
バサッと、布がはためく音がした。
未空が引いたカーテンがすっぽりと2人分の身体を覆い隠した。
目の前にはいつになく真剣な表情の未空が俺の身体の両脇に手を付いて逃げ場を塞ぐ。
「これでもう俺しか見えないよね?」
「、」
真顔で、でもどこか口元に余裕を含ませる未空。
「ち、近い…」
「リカが俺のこと見てくれないからだよ。こうすればリカも周りのこと気になんないでしょう」
余計気になるわ。
寧ろ逆効果だろう。
「さあ白状して。あの手紙は何?」
「………」
「あ、まだ抵抗する?別にいいよ。だったら…」
第二ボタンまで開かれた右鎖骨の下辺りを未空の長い綺麗な指が触れる。
「自分から言いたくなるようにしてあげる」
「っ!?」
その声色にビクッと肩が跳ねた。
甘い甘い囁きが鼓膜を犯す。
「み…、」