歪んだ月が愛しくて1



「いつまでそうしてるつもりだ」



その声と共にカーテンが開いた。
人工的な光に一瞬だけ目が眩んだ。



「……頼稀、邪魔なんだけど」

「それはこっちの台詞だ」



未空は俺から顔を離して怪訝そうに頼稀を睨み付ける。



「ちぇ、いいとこだったのに…」

「立夏を離せ」

「……嫌だって言ったら?」

「あ?」

「前から思ってたけど何で俺がリカにちょっかい出すと邪魔するわけ?頼稀には関係ないじゃん」

「前にも言ったはずだ。俺には立夏を守る義務があると」



……は?何それ?

そんなこと言ったの?



「それが一番意味分かんないんだけど」

「お前に理解してもらうつもりはない」

「昨日だって…」

「………」



昨日?



未空は両腕に俺を閉じ込めたまま頼稀から視線を逸らさない。
すると不意に横から強い力で引き寄せられた。



「もう、いつまで立夏くんを独り占めする気なの?」

「頼稀も大人気ねぇぞ」



そう言って希と葵は俺の両腕をがっちりとホールドした。



「え、何で?」



何で俺が捕まえられてるの?

普通逆じゃない?



「立夏くん、逃がさないよ」

「こうでもしないとあの2人が大人しくなんねぇからな」

「……あれって俺のせい?」

「「当然!」」



そんな満面の笑みで言わなくても…。



「当然じゃなくて、リカを返してよ」

「返して欲しかったら頼稀と仲直りしろよ」

「仲直りって、別に喧嘩してるわけじゃないよ…」

「ああ」

「じゃあその目付きをどうにかしろよ。頼稀は生れ付きかもしれないけど」

「おい」

「……希って仲直りさせたいのか喧嘩売ってんのか分かんないよね」

「あれが希くんの良いところだよ」

「まあ、確かに…」

「兎に角!俺はリカに聞かなきゃいけないことがあるの!」

「あの手紙のことでしょう。あれはラブレターじゃないと思うよ」

「じゃあやっぱり果たし状…、てか何でアオも知ってんのさ!?まさかのんちゃんも!?」

「知ってるって言うか…」

「何となく?」

「何でアオとのんちゃんも知ってんのに俺には教えてくれなかったの!?」

「いや、別に俺は…」



そもそも誰にも話してないんだが。


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