歪んだ月が愛しくて1
「でも何で希と葵まで手紙のこと知ってたの?」
頼稀なら分かる。
立場上色んなところにセンサー張り巡らせてるし、アゲハの命令で俺の世話焼いてくれてるから。
でも希と葵は違う。2人はただのクラスメイトで俺とは何の関係もない。
それなのに…、
「え、気付いてないと思ってたの?」
………え?
「もろバレだぜ」
「挙動不審だって言っただろう」
「立夏くんは隠し事が出来ないタイプなんだね」
「そ、そう…?」
「隠そうとするから余計目に付くんだよ。未空に隠し通すつもりならもっと堂々としてろ」
「……うん」
「ま、もう手遅れだけどな」
「未空くん凄い気にしてたもんね、ラブレターじゃないのに」
「果たし状でもないけどな、くくっ」
そう言って希と葵は再び笑い出す。
どうやら思いの外未空の発言がツボに入ったらしい。
「てかもう昼じゃん。早く食堂に行こうぜ」
「でももう少ししたら未空くんが戻って来るんじゃないかな。それまで待ってようよ」
「あ、未空のこと忘れてた…」
「もう希くんってば」
「じゃあ俺が未空のこと待ってるから3人は先に食堂に行っててよ」
「え、じゃあ立夏くんはお昼どうするの?」
「大丈夫。俺そんなに腹減ってないし」
「でも…」
「だったら今日は教室で昼飯食おうぜ。俺達で5人分の飯買って来るから立夏はここで待ってろよ」
「いや、でも3人でゆっくり…」
「それいいね!」
「え、いいの?」
「いいの、いいの。なあ頼稀?」
「ああ。お前はここで待ってろ。未空がいつ戻って来るか分からないしな」
「立夏くんは何がいい?」
「何でもいいけど…、どこまで買いに行くの?」
「購買だよ。食堂の近くにあるからパンとかサンドイッチをいくつか買って来るね。嫌いな物はある?」
「ない」
「分かった。じゃあ行って来るね」
「大人しく待ってろよ」
「知らない奴について行っちゃダメだぞ!」
「行かないよ」
ヒラヒラと手を振って3人を送り出した後、俺は机に伏せながら彼等の帰りを待つことにした。