歪んだ月が愛しくて1
汐と遊馬
「あれ、藤岡くん?」
教室で未空達を待っていると不意に頭上から声を掛けられた。
そこにはクラスメイトの花房汐と日永遊馬がいた。
頼稀を通じて知り合った2人だが未空や希のコミュニケーション能力の高さもあって少しずつ打ち解けることが出来た。
「こんなところで何やってんの?」
「今日はあの4人と一緒じゃないんだ?」
「えっと…」
と言うのは嘘。打ち解けたって言うのはただの見栄。
本来人付き合いが苦手な俺は未空達がいないと未だに上手く話せないでいた。
「そうだ、昼飯まだだったら一緒に食堂行かない?」
「俺達もまだ食べてないんだ」
そんな俺を汐と遊馬は快く昼食に誘ってくれた。
「あ、りがとう…。でも今日は教室で昼飯食べようって話になって、それで今頼稀達が買いに行ってくれてるんだ」
「そうなの?」
「なーんだ、残念」
「折角あの4人がいないからチャンスだと思ったのに」
「ごめん…、誘ってくれたのに…」
「藤岡くんが謝ることじゃないよ」
「残念だけどまた懲りずに誘うから」
「じゃあ今度は2人っきりで食事しない?」
「え?」
「はぁ!?お、俺はっ!?」
「2人じゃないとデートにならないだろう」
「何で遊馬が藤岡くんとデートすることになってんだよ!?」
「何でって、誘ったもん勝ちでしょう?」
「だったら俺ともデートして!」
「えっ、え…」
「恋人いない歴が年齢と比例する汐に藤岡くんをエスコート出来るの?」
「そっ、それとこれとは関係ないだろう!俺だってデートくらいしたこと…「幼稚園の遠足じゃないからな」
「知っとるわ!」
2人のやり取りを眺めて苦笑する。
ボッチの俺を気遣ってくれただけでも有難いのに場の空気まで和ませてくれる彼等を見て改めてこのクラスで良かったと思った。