歪んだ月が愛しくて1
我妻先輩の瞳が真っ直ぐに俺を射抜く。
決してゴツい顔をしているわけじゃないのに威圧感が凄いのは身長差のせいだろうか。
しかしそんな我妻先輩に汐と遊馬が食って掛かった。
「俺達がそう易々と藤岡くんを手放すと思ってんのか?」
「藤岡くんをどこへ連れて行くつもりですか?」
「………」
我妻先輩が再び口を閉ざす。
そんな我妻先輩の態度に汐が苛立ちを露わにする。
「何とか言ったらどうなんだよ。これまで藤岡くんに散在酷いことしておいてよくのこのこと顔出せたもんだな。神経可笑しいんじゃねぇの?」
「汐、それ悪口だから」
「本当のことだろう」
「………」
我妻先輩は否定も肯定もしない。
言いたい放題の汐に次第に外野が騒ぎ始める。
「何あのキモ眼鏡?我妻様に呼ばれて無視するなんていい度胸してるじゃん」
「有り得ないんだけど」
「ブスのくせに生意気なんだよ」
「てか自分で話せないの?仲間に助けてもらうなんてダッサ」
「でもあの人ちょっと格好良くない?」
「あんなブスと一緒にいるなんて勿体無いよ!」
きっと親衛隊の連中だ。
でかい声出さなくても聞こえてるっての。
「うっせぇー!外野は黙ってろ!」
でも不味いな。
こんなに外野がいるとなると頼稀達にバレるのは時間の問題だ。
しかもこの状態で未空まで帰って来たら何を言い出すか分かったものじゃない。
そんなことになったら会長達にもまた迷惑を掛けることになる。
(それは嫌だな…)
一刻も早くこの状況を打破するためには方法は一つしかない。