歪んだ月が愛しくて1



未空Side





『余計な詮索はしない方がいい。我が身が可愛かったらな』



結局、昨日は頼稀にはぐらかされた。
侵入者を引き渡してもらえないばかりか頼稀がリカに執着する理由すら聞けなかった。
そのことを尊に話したら「そうか…」の一言で済んだからお咎めなしだったけど、でもやっぱり納得いかない。
侵入者を引き渡してくれなかったことも、頼稀がリカに執着する理由を話してくれないことも、それを尊があっさりと引き下がったことも。
でも一番納得出来ないのはさっきの頼稀の態度。
昨日のことなんてなかったかのように皆の前で平然としちゃってさ。



(格好付けやがって…)



その上リカに親衛隊が出来るみたいな噂まで流れて…。

リカのこと何も知らないくせにムカつく。ミーハー共は黙っとけよ。



『教えてくれよ。お前とりっちゃんを繋ぐものが何なのか』



頼稀の前では食い付かなかったけど俺だって本当は知りたい。



リカと頼稀を繋ぐもの。

そして頼稀がリカを守る義務が何なのか。



リカのことなら何でも知りたい。
勿論それは俺のエゴだからリカに嫌われない程度に止めるつもりだけど、知りたいと思えば思うほど分からないことが増えていって何だか落ち着かない気分だった。モヤモヤする。
リカと頼稀の繋がりが分かればこのモヤモヤも少しは晴れてくれるのかな。



時々不安になる。
俺はこんなにもリカのことが大好きでずっと一緒にいたいって思ってるけどリカはどう思ってるのかなって。
自分と同じ気持ちを同じ熱量で返して欲しいわけじゃない。
ただそれほどリカのことが大好きなんだよって俺の気持ちをちゃんと理解していて欲しかった。今はそれだけで十分だから。



(だってリカは…―――)



尊に呼び出されて生徒会室に行ったものの用件はすぐに済んだからリカが待っている教室に急いで戻った。



ガタンッ!!



教室のドアを開ける直前、室内から物騒な音が聞こえた。



「たっだい、まー………」



ドアを開けて一番最初に目に入ったのはピリピリしたオーラを放つ頼稀と頼稀の前で項垂れる汐と遊馬だった。



「えっと…、何してんの?」



すると俺に気付いたのんちゃんとアオが駆け寄って来た。



でもあの声が聞こえない。



「未空くん!大変だよ大変!」

「た、大変?」



何で?

頼稀がキレてるから?



すると突然頼稀が動き出した。



「ちょっ、待ってよ頼稀!無闇に捜したって見つからないって!」

「そうだよ!ここは皆で手分けして捜そうよ!」

「……いい。俺と、汐と遊馬で捜す」



捜す?

え、誰を…。



不意に愛しい声が脳裏に過ぎった。










「リカ…?」


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