歪んだ月が愛しくて1
「但し、ゲスいことはなしで」
流石に月がやってたことは見過ごせない。
それに比べれば白樺や桂木先輩達なんて可愛いものだ。
「俺が気に入らないのはアンタが白樺達を簡単に切り捨てようとしたからだよ」
「………」
切り捨てようと、か…。
自分だって人のこと言えないくせに偉そうに何言ってんだか。
でも言わずにはいられなかった。
上手く説明出来ないけど何となく桂木先輩の言葉が癇に障って気付けばムキになって言い返していた。
自分のことを棚に上げて他人を非難するなんてどうかしている。
「……貴方は、不思議な人ですね」
不意にクスッと音を立てて桂木先輩が苦笑した。
「不思議?」
「これまで何度も酷い目に合ったにも関わらず白樺さんと恐極さんの肩を持ったり、私の考えを理解出来ないと言ったり、でもそんな私に優しい言葉を掛けて下さる。貴方はよく分からない人です」
「………」
「でも分からないからこそ私は貴方を見定めなくてはなりません。尊様にとって貴方がどのような存在なのか」
「何それ?ただの生意気な後輩でしょう」
「私も最初はそう思っていました」
思ってたんかい。
それはそれで何かムカつくな。
「でも今日初めて藤岡さんにお会いして直接言葉を交わして考えが変わりました。私は貴方と言う人間に興味があります」
「全然嬉しくないので遠慮させて頂きます」
寧ろ迷惑だ。
もうこれっきりにしてくれ。
するとどこからか声が聞こえて来た。
「―――僕も知りたいな」
その声と同時にスパンッと襖が開く。
……へ?何で?
視線を上げた先には腕を組みながら仁王立ちする御手洗くんの姿があった。
口調は柔らかいのにどことなく不機嫌そうなその姿はまるで…。
「……女王様?」
「何バカなこと言ってんの?よくこの状況でそんなこと言えるね、バカなの?」
「2回も言わなくても…」
「何?削がれたいの?」
「どこを!?」