歪んだ月が愛しくて1
立夏Side
「君、バカなの?」
グサッと、御手洗くんの声が胸に突き刺さる。
「何のこのこついてってるわけ?あんな連中に捕まったら面倒臭いことになるのは目に見えてるでしょう。我妻が呼びに来た時点で気付きなよ。バカなの?大体君3回目だよね。ああ、もう本当にバカ。救いようがないよ」
「ご、ご尤もです…」
御手洗くんは俺の手を振り払うと腕を組みながらズカズカと先頭を歩く。
表情は見えないもののその口調から察するに内心穏やかでないのは明白だ。
「華房と日永も報われないよ。君を親衛隊に捕られまいと必死で盾になってたって言うのに当の本人が行く気満々なんだもん。あれじゃあピエロだよピエロ。あーあ、可哀想に」
「ピエロって…」
「本当のことでだろう。君がいなくなった後風魔にこっ酷く怒られてたよ」
「あー…」
相変わらず過保護なことで。
でも汐と遊馬には悪いことしたな。帰ったらちゃんと謝ろう。
「……その顔、本当に分かってんの?当然風魔と華房達の関係も知ってるんだよね?」
「関係?ただのクラスメイトじゃないの?」
「はぁ…」
呆れたと言わんばかりに深い溜息を吐く、御手洗くん。
「知らないんだったら僕からは教えないよ。でもこれで分かったでしょう。君の安易な行動のせいで周囲の人間がどれほど振り回されてるのか」
「、」
途端、胸が軋んだ。
御手洗くんの言ってることは正しい。
正しいからこそ何も言い返せなかった。
「風魔達だけじゃない。クラスの奴等も君には直接言わないけど、君が変なことに巻き込まれる度に心配だとか俺達で何とかして出来ないのかとか言って僕に泣き付くから正直うざったいんだよ。さっきだって仙堂がキーキー猿みたいに喚いたから一発ぶん殴ってやったよ」
「え、」
その言葉に耳を疑った。
「だから仙堂がうざいんだよ」
「極論だね」