歪んだ月が愛しくて1
「てかりっちゃんは人が良過ぎるよねぇ〜」
「……はい?」
唐突に、陽嗣先輩はそう言った。
その主旨が分からなくて首を傾げると。
「だってよ、白樺や恐極に引き続き桂木と我妻だぜ。覇王親衛隊の幹部全員相手にして尚且つお咎めなしじゃん。俺だったら文句の一つでも言って二度とその面見せないようにしてやるのにさ」
何を言い出すかと思えばそのことか。
「陽嗣の意見に賛同するわけではありませんが警戒するに越したことはないと思いますよ。僕も彼等を信用することは出来ませんから」
「でも…、月は兎も角他の3人には何もされてないから…」
「白樺には殴られそうになってたじゃん」
ギクッ。
「な、何のこと、ですか?」
何で陽嗣先輩が白樺とのこと知ってんだよ。
会長には口止めしたはず。後でバレた未空にも口止めし………あ、してなかったかも。
「立夏くん、嘘はいけませんよ。貴方達のやり取りは全てカメラに記録されてありますからね」
「カメラ?え、でもどこに…」
「カメラは学園内の隅から隅まで設置されています。そのカメラの管理権は我々生徒会と風紀、そして理事長に与えられているのでいつでも好きな時に録画映像を確認することが出来るんですよ」
「そゆこと」
つまり俺の努力は無駄だったと?
ああ、こんなことなら下手に嘘吐くんじゃなかった。
「別に隠すことねぇじゃん。白樺がやったことは自業自得なんだからさ」
「………」
陽嗣先輩の言葉にどこか冷たさを感じた。
まるで何も感じていないような無機質な瞳が余計にそう思わせたのかもしれない。
「それがセフレに対する言葉ですか?」
「だから元を付けろって!」
「セフレ?」
「いいの!リカは知らなくて!てかずっと知らないままでいてお願いだから!」
いや、その言葉の意味なら知ってるけど。
俺のこといくつだと思ってるわけ?
「何焦ってんだよ?」
「あ、焦ってねぇよ!焦る理由がねぇだろうが!」
「へー」
「怪しい〜。俺達に何か隠してることでもあるんじゃねぇの?(笑)」
「怪しくねぇよ!変に勘繰ってんじゃねぇよバカ猿!」
「誰がバカ猿だ!この節操無し!」
「猿に猿って言って何が悪い!この脳内筋肉猿!」
「だから猿サル言うんじゃねぇよエロガッパ!」