歪んだ月が愛しくて1
「まさかっ、リカは忘れてちゃったの!?俺との熱いチューを!!」
「何が熱いって?口の端っこだったよね?」
「いいの!細かいことは気にしないで!」
「何がいいんだ…っ」
未空が飛び付いて来たと同時に反射的に仰け反ると、不意に背後から強い力で引き寄せられた。
当然俺の身体は後ろにいた人物の腕の中にすっぽりと収まった。
「口の端?俺の時はこっちだったよな?」
ブルッと、鼓膜から脳を揺らす低い声に身震いする。
「会長っ!?」
会長は俺の下唇を親指でなぞる。
その仕草があまりにも妖艶で目に毒でキャパ以上の羞恥心から居た堪れなくなり会長の腕の中でジタバタともがく。
「忘れたなら思い出させてやろうか?」
「っ!?」
会長の吐息が首元にかかる。
ゾクッと、何とも言えない感覚に身動ぐ。
「ま、まさかみーこもっ!?」
「俺はこっちだがな」
「ギャー!俺のリカが食われたー!」
「食われてねぇよ!」
「でもキスはされたんでしょう!?」
「そ、それは…っ」
「やっぱりされたんだ!リカの浮気者!」
何でそうなるんだよ。
「全く未空と張り合うなんて貴方は子供ですか?」
「王様も型無しだな」
「何でみーこがリカにちょっかい出すんだよ!許せない!」
「煩ぇ。そんなの俺の勝手だろうが」
「勝手じゃないよ!納得いかねぇ!」
「おやおや、まるで駄々っ子のようですね。陽嗣、責任取ってどうにかして下さいね」
「俺のせいかよ」
「……陽嗣先輩以外に誰がいるんですか?」
「九澄だって悪ノリしてたじゃねぇかよ」
「僕は立夏くんの初恋について興味があっただけですよ」
俺は全然興味ねぇよ。
もう帰っていい?
「確かにそれも気になるな」
「あ、俺も気になる!」
「………」
「……あの、もうこの話題やめません?いい加減この2人がしつこいんで」
「しつこくされたくなければとっとと白状しろ」
「リカ、往生際が悪いよ」
それはこっちの台詞だ。