歪んだ月が愛しくて1



「僕が調べたところ資料だけでは立夏くんと風魔くんの繋がりは見つかりませんでした」



その言葉に一瞬動きを止めた。



「お前…」

「立夏くんのことが知りたかったのでしょう。それ以外で貴方が風魔くんに興味を持つ理由はありませんからね」

「チッ」



相変わらず食えねぇ奴。
他人に触れられたくないことと分かっているくせにあえてそれを口に出して羞恥心を煽るなんてとんだドS野郎だ。
陽嗣もこんな奴のどこがいいんだか…、気が知れねぇな。



「未空も言っていましたが、どうやら最近の風魔くんは立夏くんに大層執着しているようですね。陽嗣も立夏くんと風魔くんのことを気にしていましたし。貴方もそれが気になったから僕に調査を頼んだのでしょう。もしかしたらあの2人には何かあるのかもしれないと…」



懸念しているのは風魔だけじゃない。



「だとしたら何だ?お前は俺に何を言わせたい?」

「何も。ただ僕は少しでも貴方の疑問が解消出来ればいいと思っただけですよ。そのために苦労して集めた資料ですから有効に活用して下さいね」

「お前に言われるまでもない」

「そうですか。ああ、それと風魔くんに近しい人物を調べたところ面白いことが分かりました」

「面白いこと?」

「ここ最近の風魔くんについて調べたら彼は見た目同様人付き合いが苦手なようで主に行動を共にする人物は未空と立夏くん、初等部から同じクラスの武藤葵・御手洗邦光・華房汐・日永遊馬。そしてルームメイトの佐々山希とC組の寮長である九條院暁羽だけでした」

「九條院?」



その名前に思わず反応する。



「2人について今分かっていることは風魔くんが九條院くんの従者と言うことだけです。それと確証はありませんが僕はそれに立夏くんも関係していると踏んでいます」

「根拠は?」

「彼等の目撃情報はいくつか上がっています。九條院くんは寮長と言う立場ですから立夏くんと接触しても何ら疑問に思いませんがそこに風魔くんが加われば話は別です」

「………」



あの光景が蘇る。
立夏の手の甲に口付けし頭を垂れる九條院の姿が。
あれを見せられて何もないとは思ってなかったがまさかここで風魔が出て来るとは中々厄介だな。



「それでなくても風魔くんは東日本三大勢力の一角“Bloody Butterfly”の幹部であり裏の人間ですから」



“B2”か…。

嫌な予感が脳裏に過ぎる。



(まさか、な…)


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