歪んだ月が愛しくて1



「……アンタには関係ない」

「関係なくねぇよ。俺様はお前よりも遥かにアイツ等のことを知ってんだ。中でも神代とは反りが合わなくて顔を突き合わせる度に衝突してる所謂水と油の関係って奴だ」

「アンタと会長のことなんか知るかよ。俺には関係ない」

「だから関係あるって言ってんだよ。いいか、お前は戸籍上姉さんの息子で俺様の甥に当たる存在だ。もし神代がそのことを知ればお前の存在はアイツ等に利用されかねない。そうなれば俺様にとっては不利になるんだよ」

「、」



文月さんの言葉にカッと頭に血が上る。
俺のことを考えているふりをして結局は自分のことしか考えていない文月さんに怒りで指先が震える。
ショックではない。本来鏡ノ院文月と言う人間はそう言う人間だ。自分本位で他人を蹴落とすことに快楽を得るようなそんなクソ野郎なのだ。
そもそもそんな感情は当に捨てて来た。今更文月さんの前で悲劇のヒロインぶるつもりは毛頭ない。



(文月さんの思い通りに動くなんて死んでも御免だ…)



大体仮説の話をしてたらキリがない。
俺が文月さんの親族だと言うことも、会長がそれを何かに利用したとし………は?



「会長が、知ってる…?」



俺と、文月さんの関係を?



「恐らくな」

「、」



途端、一気に血の気が引いた。



「ふ、ざけんな!約束が違うっ!」

「俺様の口から説明したわけじゃねぇよ。覇王の中には情報管理のスペシャリストがいるからな。学園内のことに関しては大抵奴が調べてるはずだ」

「やつ、て…」



脳裏に過ったのは木漏れ日の彼だった。

あの人ならやりかねないが…。



「それに神代財閥の力を持ってすれば大抵のことは何でも出来る。俺様とお前の関係を洗うことくらい容易なはずだ。それに神代の性格上素性の分からねぇ奴をそう易々と自分の懐に入れるとは思えねぇ。何たってお前は異例の転入生だからな」

「……アンタがそうなるように仕向けたんだろうが」

「何のことだか」

「恍けんな!何が異例の転入生だ!態と目立つように仕向けたくせに!」

「くくっ、不満か?」



悪びれる様子のない文月さんに更に食って掛かる。



「ああ、心底嫌だね。アンタと会長のいざこざに巻き込まれんのも、アンタの親族だって思われんのも」

「相当嫌われてるみてぇだな。まあいい、兎に角生徒会は辞退しろ。何なら俺様が直接言ってやってもいいぞ」

「ふざけんな。誰がアンタなんかに従うかよ」

「お前が生徒会に拘る理由はないはずだ。くだらねぇ意地張ってんじゃねぇよ」

「意地?」

「テメーの言葉を撤回したくねぇだけだろう。アイツ等に大見得切った手前抜けるに抜けられねぇか?」

「違う!それは…っ」

「まさか罪悪感とか感じてんじゃねぇだろうな?」

「は…、」



罪悪感?

このモヤモヤしたものが?



そんなわけ…、


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