歪んだ月が愛しくて1
「―――違うよ」
複数の足音と共にその声は頭上から降って来た。
「俺じゃなくて俺達《・・》…でしょう?」
「なーにちゃっかり自分の手柄にしてんだよ」
「立夏くんを手放したくないのは貴方だけじゃないんですよ」
未空を先頭に階段を降りて来た覇王3人はまるで逃がさんと言わんばかりに俺と会長の傍までやって来た。
「リカは前に言ったよね、自分の目で見て判断しないと大切なものを見落とすことになるって」
「言ったけど…」
生徒会に入った日、覇王が碌でもない連中だと教えられた。
そして教えた張本人が寂しそうに笑うものだから見ていられなくてムカついたことも記憶に新しい。
「俺も、そう思うよ。リカに言われてああ確かにって思ったんだ。だから言ったでしょう、リカを生徒会に誘ったこと後悔してないって。リカならこんな俺達のことを受け入れてくれるんじゃないかと思ったから…」
「………」
今思えばあの時の俺はどうかしていた。
あんなこと言うつもりじゃなかったのに。
「………嘘。本当は受け入れて欲しかったんだ」
いけないことだと分かっていた。
誰かの心に残ることを安易に口に出してはいけなかった。
後腐れない関係の方がお互いに楽だと思っていたのにそれを破って踏み込んでしまった。
「勝手に期待して、勝手に祈ってた」
……違う。
「へへっ、一緒だね」
「っ、」
違うんだよ。
勝手に期待して勝手に祈ってたのは俺の方だ。