歪んだ月が愛しくて1
「この後、何か予定あるのか?」
「この後?」
「さっき風魔が言ってただろう」
さっき…。
「あ、勉強会のことか」
「勉強会?」
「もうすぐテストがあるんでしょう。俺バカだから勉強出来なくて…。それで皆で勉強することになったんです」
「皆?他にも誰か来るのか?」
「未空」
「だけか?」
「その他諸々」
「略すな」
「説明すんのが面倒臭いんで」
「大勢でやっても効率上がらねぇぞ」
「それでもやらないよりはマシだろう。俺集中力ないから絶対1人だと飽きちゃうし」
「えばんな」
「えばってませんよ。会長こそ勉強しなくていいんですか?テストまでそんなに時間ないのに」
「そうみたいだな」
「……もしかして会長って頭良いの?」
「まあ、テストのためだけに勉強したことはねぇな」
「うわっ、ムカつく」
「事実を言ったまでだ。悔しかったら勉強しろ」
「言われなくてやりますよ」
「精々赤点は取るなよ。去年の猿みたいに折角の夏休みが補習で潰れるからな」
「え、そうなの!?」
「当事者に聞いてみろ」
やっぱり未空もバカなんだ。
汐も下から数えた方が早いって言ってたし俺もマジで勉強しないと。
赤点なんて取った日には何を言われるか分かったものじゃない、主に会長と文月さんに。
「但し根詰め過ぎんなよ。無闇に詰め込んでも意味ねぇからな」
会長の大きな手が俺の頭を撫でる。
「……ガキ扱いすんな」
ムスッと、その仕草が気に入らなくて下から会長を睨み付ける。
「どう見てもガキじゃねぇか」
「二つしか違わねぇくせに…」
「それでも俺よりガキだってことには変わりねぇだろう」
「チッ」
「拗ねんなよ」
「拗ねてない」
でも触れられた部分が温かくて心地良い。
その手を振り払いたいのに、ずっとこのままでいたいなんて柄にもなく思ってしまった。
どうかしてるな。