歪んだ月が愛しくて1
「頼稀くんと希くんは今年も何もやらないの?」
「当ったり前よ!」
「面倒臭ぇからな」
「あ、それ分かる」
「だろう」
「もう立夏くんまでそんなこと言って。2人はうちのクラスで1、2を争う面倒臭がり屋なんだから真似しちゃダメだよ」
「ちょいちょいエンジェル〜、それどう言う意味よ?眼鏡ちゃんが勘違いするでしょうが」
「超が付くほどの物臭って意味だけど」
「言うようになったじゃねぇか」
「嘘は吐いてないもん」
「ま、頼ちゃんはねぇ」
「頼ちゃん言うな」
ケラケラと豪快に笑う希は俺の肩に腕を回して「頼ちゃんのケチケチ魔人、アンポンタン」と言って更に頼稀を挑発する。
でも頼稀はそれらを全て無視して希の腕を俺の肩から外して適当な席に座らせた。
「でも本当に委員会入らなくていいの?やりたいこととか興味があるものがあったら遠慮することないんだよ」
葵は俺が遠慮して委員会に入らないと思っていたのか。
でも俺にはやりたいことも興味があるものも何もない。
気遣ってくれる葵には申し訳ないが端っから遠慮なんて微塵もしていない。
俺が委員会に入りたくない…と言うより入る気がないのはただ面倒臭いからだ。それともう一つ。
「……俺、委員会とかやったことない」
「え、マジ?」
「小学校とか中学校でも?」
「うん」
そもそもあの日以来まともに学校なんて行ってない。
だから委員会がどんなものかも分からないし分からないことを分かりたいとも思ったことはなかった。