歪んだ月が愛しくて1



一般的に生徒会室とはこんなものなのか。
そこは校内とは思えないような光景が広がっていた。
壁に取り付けられた大きな液晶テレビ。部屋の中央にはゲーム機が散乱している大きなガラス製のテーブル。それを取り囲むように黒革張りの1人掛けのソファーと3人掛けのソファーが二つ。そして上座には艶のあるブラウンで統一された執務机とアームチェアが設置されていた。



「……どうも、藤岡です」



そこで俺を待っていたのは居心地の悪い好奇と訝るような視線だった。



「……おい、何の冗談だ」

「冗談じゃないよ」

「まさか未空がお友達を連れて来るとは…」

「お前友達いたんだな?」

「失礼な!」



現在の生徒会には会長・副会長・書記・会計の四つの役職が健在する。
超美形揃いの金持ち集団で、学園では“覇王”と呼ばれ学園の象徴として崇められていた。
そして生徒会に入るためには学園の人気投票で上位に入るか現役生徒会役員の推薦が必要で誰でも気軽に入れるわけじゃないらしい。
つまり俺は未空の推薦でここにいると言うことになる。



「俺だって友達の1人や2人…」

「すっくね」

「煩ぇ!」



目の前にいる3人は色んな意味で飛び抜けていた。
そこに未空が合わされば何とも絵になる構図だ。
滅多にお目にかかれない部類の美形であるのは間違いない。……少し喧しいのは難点だが。
でも俺が驚いたのはそこではない。
4人が纏うオーラ、瞳の奥にあるもの。
かつて自分に慣れ親しんだものが見えたような気がした。
選ばれた一握りの人間だけが持つ王者の空気に確信する。
“覇王”と呼ばれるだけはあると―――。


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