歪んだ月が愛しくて1
「それにしてもお前の友達ってスゲーな」
「でしょう!スゲー可愛いだろう!」
「いや、眼鏡が」
大きなお世話だ。
居心地の悪さから俺が視線を彷徨わせていると、不意に黒曜石と視線が交わる。
太陽のような金糸の髪。まるで絵画のモデルのような日本人離れした体格と麗端で大人びた顔立ち。
整い過ぎた彼の顔は人形にしか見えないくらい冷たく見えた。同世代とは思えないオーラがそれを助長させているのかもしれない。
視線が交わった瞬間、咄嗟に金髪美人から視線を逸らした。
……この人、苦手だ。
相手に悟られないように息を吐く。
萎縮なんて俺の柄じゃない。
ちらっと視線だけを上げると、金髪美人は書類が山積みの机の向こうで紫煙を揺らしながら俺を睨み付けていた。
穴が開くんじゃないかってほど見て来るな…。視線がウザい。
(まあ、向こうからすれば仕方ないか…)
そう言い聞かせて再び彼等を見渡す。
金髪美人の両端には2人の姿。彼等は金髪美人とは反対に満面の笑みを浮かべていた。
……何故?
「陽嗣、失礼ですよ。とても似合っているじゃないですか」
「眼鏡のリカも可愛いよ!」
「……それ褒めてるつもり?」
「もち!」
嘲るような視線と精一杯のフォローに心が折れそうになる。
それにしても金、朱、灰色って…。
また目が痛くなるようなカラフルな頭だな。
紀田先生の言う通り不良なのは間違いないようだ。