歪んだ月が愛しくて1
すると隣からご機嫌な未空の声が聞こえた。
「紹介するね!こっちから見て右にいるのが九ちゃんで、左がヨージ、真ん中で偉そうに足組んでる奴が尊だよ!因みに皆3年!」
「雑…」
「未空、それではあまりにもアバウトですよ」
「そう?」
その言葉を合図に灰色が動き出した。
「初めまして皇九澄です。ここでは副会長をやってます。宜しくお願いします」
「藤岡です。こちらこそ…」
そう言って差し出された九澄先輩の手をぎこちなく握り返した。
「藤岡…、何くんと言うんですか?」
「リカだよ!」
「リカ?」
「立夏です」
「立夏くんですか。素敵な名前ですね」
「ありがとうございます…」
ふと目が合うと、彼はふんわりと微笑んだ。
銀縁眼鏡の奥で微笑む紫暗の瞳が俺の警戒心を解こうとしているのが分かる。
木漏れ日のような人。
それが九澄先輩の第一印象だった。
「……成程。噂になるわけですね」
「んー、まあまあじゃね?」
「………」
「あの、噂って…」
「リカが可愛いって噂だよ!」
何それ?悪口じゃん。