歪んだ月が愛しくて1
「じゃあ次は俺だな。俺は書記の御幸陽嗣。俺のことは御幸でも陽嗣でも好きなように呼んでくれて構わねぇよ。ま、俺は基本女専門だけどりっちゃんならいつでも大歓迎だぜ」
専門?
歓迎?
「おい、何沸いてやがる」
「気にしないで下さいね立夏くん」
「ヨージの下ネタは無視だよ、無視」
ああ、この人が噂のヨージか。
よくも人のこと変態呼ばわりしてくれたな。
陽嗣先輩は九澄先輩に比べるとかなり砕けた感じの人だった。
朱色の長髪を一つに纏め、両耳にはいくつものピアスを付けた如何にもチャラそうな人って印象だ。
「あれ、もしかして俺に見惚れちゃった?」
「………はい?」
「おい、ここにバカがいるぞ。どうにかしろ」
「何で僕を見るんですか?本人に言って下さいよ」
「リカがヨージなんか相手にするわけないじゃん!バーカ!」
「立夏くん、万年発情期さんの言うことは無視して下さいね」
「誰が万年発情期だよ」
「ヨージしかいねぇじゃん!」と言いながら未空は俺の身体を陽嗣先輩から庇うように自分の後ろに隠した。大袈裟な。
「んだよ、冗談じゃねぇか」
「自分の胸に手を当ててよく考えた方が賢明ですよ。貴方に関してはその手の冗談は冗談で済みませんからね」
「ヨージが言うと洒落になんねぇんだよ!この前科者!」
……成程。つまり見た目通りの人ってわけか。
まあ、俺には関係ないけど。
「もうヨージのせいで話が脱線した!」
「俺のせいかよ」
「自覚ないんですか?」
「ごめんねリカ。あと紹介してないのはそこにいる金髪の目付きが悪いの奴だけだよね。あれが生徒会長の神代尊だよ」
「お前、ぶっ飛ばすぞ」
この人が生徒会長。
紀田先生が言ってた傍若無人野郎の正体か。
……通りで偉そうなわけだ。
「ほら、王様も自己紹介しろよ」
「必要ない」
その一言に無意識に眉を顰める。
「ダメですよ。初対面の方にそんな態度では」
「そうだよ!リカが怖がってんじゃん!」
いや、怖がってはない。
でもその態度はちょっとムカつく。