歪んだ月が愛しくて1



「それでは立夏くんには何をやってもらいましょうか?」

「はーい、はいはーい!リカは会計がいいと思いまーす!」

「何故ですか?」

「俺が会計だから!」

「バーカ。りっちゃんは書記だっつーの。会計はお前だけで十分だろうが」

「はぁ!?だったらヨージだって1人でいいじゃんか!」

「俺はダメ。かわい子ちゃんがいねぇとモチベーション上がんねぇの」

「ふざけんな!何だよその理屈!?」

「屁理屈だよーん」

「言い訳すんなクソヨージ!」

「誰がクソだ、このアホクソ猿!」

「こらこら、立夏くんの前で見苦しいですよ。子供じゃないんですから」



生徒会は一気に和やかムードに入る。



きっとこれが彼等の日常。

互いが互いを理解している、そんな空気。



その空気に触れた途端、ズキンと胸が痛んだ。



「リカ!リカはどっちがいい!?」

「勿論書記だよな?」

「俺と一緒に会計だよね!?」



未空と陽嗣先輩が力任せに俺の両肩を勢い良く揺さぶる。
お陰で感傷なんてすっ飛ばされた。



そもそも、



「……俺、入るなんて言ってない」

「あれ、そうだっけ?」



上手く躱された気がする。



「おや、もしかして生徒会強制令を発令したんですか?」

「まあね」

「マジかよ。オメー本気か?」

「言ったじゃん、マジだって」



そう言ってご機嫌な未空が俺の肩を抱き寄せるが、俺はすかさずその手を払い落として距離を取った。



「……近い」

「えー、いいじゃんちょっとくらい」



良くねぇよ。

お前はどこのセクハラ親父だ。


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