歪んだ月が愛しくて1



尊Side





「……九澄様、ちょいとイジメ過ぎでない?マジでりっちゃん帰っちゃったぜ」



陽嗣のジト目が九澄に責任を擦り付ける。



「心外ですね。貴方の下ネタにドン引きしたのでは?」

「失礼な。それを言うなら猿のしつこさに嫌気が差したんじゃねぇの?」

「はぁ?俺のどこがしつこいんだよ!?」

「おいおい、あれで無自覚かよ。りっちゃんにくっ付いて離れなかったのはどこのどいつだよ」

「そ、それは…っ」



一瞬言葉を詰まらせた未空を見て九澄は未空の肩をポンポンと叩き宥めながらソファーに座らせる。



「陽嗣、言い過ぎですよ。未空の気持ちも考えて下さい」

「九ちゃ~んっ」

「よしよし」

「あっ、テメーこの猿!嘘泣きしてんじゃねぇよ!よりによって九澄に助け求めやがって!」

「べー」



九澄の後ろに隠れて舌を出す、未空。
魔王の庇護下に下るとは流石だな。



「てか言い過ぎなのは九澄だろう。やけに突っ込んで聞いてたじゃん」

「人聞きの悪い。……ま、多少は自覚していますがね」

「ほら見ろ。俺ばっか悪者扱いしやがって」

「普段の行いが悪いからじゃないですか?」

「確かに」

「間違いねぇな」

「ハッ、オメー等全員人のこと言えるタマかよ」



三者三様の意見がある中、誰しもが思った。

悪者は陽嗣だけじゃない。ここにいる全員に当て嵌まると。



「それに尊のあれもアウトだろう。一発アウト」

「あ?」

「うん。あれはない」

「同感です」

「……言いたいことがあるならはっきり言え」

「睨み付けるわ、自己紹介はしないわ」

「その上“必要ない”なんて言っちゃってさ。リカかわいそぉ…」

「悪の王様にガン飛ばされては怯えるのも無理ありませんね」



3人はうんうんと頷くが気に留めない。
非難を浴びるのはいつものことだ。



だが、あれが怯えてた?

俺にはそんなテンプレ通りの奴には見えなかったがな。


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