歪んだ月が愛しくて1
「それに鏡ノ院グループは皇財閥の傘下です。例え主人が個人的に生徒会を嫌っていたとしても神代財閥と皇財閥を前に太刀打ちすることなど不可能です。そう言った意味でもご自分の思い通りにならない生徒会を嫌悪しているのでしょう」
「鏡ノ院が皇の傘下?」
「はい。この学園を創設したのも皇財閥です。ですから傘下の中で一番力のある鏡ノ院グループが代々学園の理事長を任せられているのです」
「成程…」
つまり文月さんは副会長に頭が上がらないのか。
それに加えて天敵もいると言うことは相当生徒会の存在を懸念しているのだろうな。
あの文月さんが負かされている想像は付かないが一度でいいから吠え面を拝んでみたいものだ。
「立夏様の仰る通り私の立場上生徒会を推奨するわけにはいきません。ですから今お話したことはどうかご内密にお願い致します」
「言いませんよ」
文月さんに会いたくないと言うのに態々こっちから出向くような真似をするはずがない。
会いたかったらテメーから会いに来いっての。
それに哀さんに何を言われたところで俺の考えは変わらない。
「……アイツには、言わないで下さい」
「生徒会のことですか?」
「はい。自分の天敵に俺が接触したとなればまた煩いこと言われそうだし」
「承知致しました」
その言葉にホッと胸を撫で下ろす。
これで面倒事が一つ消えた。
きっと哀さんは約束を守ってくれるから文月さんに報告されることはない。
但し既に文月さんが情報を得ていたら問い詰められた哀さんは言わざるを得ないだろうが。
「ただ…、気を付けて下さい。彼等はきっと立夏様のことを諦めておりませんから」
「まさか。俺ちゃんと断りましたよ」
「それでも立夏様が生徒会に入る気がないのであれば今後一切彼等と関わるべきではないと思います」
「………」
哀さんに言われるまでもない。
生徒会と関わる気なんて微塵もない。
「ありませんよ」
ギュッと。
それなのに何で胸が握り潰されたみたいに痛いんだろうか。