歪んだ月が愛しくて1
希の言う通り今時のDKとやらは甘い物が好きらしい。
その証拠に未空は口一杯にお菓子を頬張って幸せそうな顔をしていた。
希と葵も未空ほどではないがお菓子を食べる手が止まらない。
一切お菓子に手を付けないのは俺と頼稀だけか。
「みふぁはんんでせーとかいやなの?」
そんな中、未空は口一杯にお菓子を詰め込んだ状態で話し掛けて来る。
「……何?」
「んからんんで…」
「ストップ。喋るなら先に口ん中の消化して」
口に頬張り過ぎて何を言っているのか分からない。
「だから、何でリカは生徒会をやりたくないの?」
「またそれ?」
「だって何度聞いてはぐらかすじゃん」
「別にはぐらかしてない」
「じゃあ何で入ってくれないの?」
「……入りたくないから」
「それは俺の質問に対する答えになってないよ」
何回同じことを言えば気が済むんだろう。
生徒会に入りたくない理由なんて決まってる。
初めは紀田先生の忠告もあって生徒会を拒んだが、実際に会ってみて直感した。
彼等とは関わってはいけない。
光の中にいる彼等と闇を纏う俺とでは生きる世界が違い過ぎる。
「リカ、理由があるならちゃんと言って?言ってくれなきゃ分かんないよ」
未空は俺の顔を下から覗き込む。
眼鏡越しに映る未空の瞳はどこか寂しそうに見えた。
「言ったじゃん。入りたくない、それが理由」
未空から視線を逸らして席を立つ。
「え、どこ行くの?」
「トイレ」
俺は未空の空色の瞳から逃げるように教室を出た。