歪んだ月が愛しくて1
「それはそれ、これはこれ」
「未空が言っていたように僕達は立夏くんと仲良くなりたいだけなんです。そこに他意はありません」
「何で…」
「仲良くなりたい」なんてそんな見え透いた嘘をよくもぬけぬけと。
でも彼等が俺に執着する理由が分からない。何も持っていない空っぽの俺なんかに。
「他意はないって言ったでしょう」
「………」
その言葉を鵜呑みにすることは出来なかった。
何か理由があって俺を生徒会に入れたいなら彼等がここまでするのも理解出来る。この際暇潰し要員であってもはっきりと明言してくれた方が有難い。
でも彼等はそれを明確にしない。それどころかあえてそれを隠そうとしているようにさえ思える。
だからと言って俺が与えられるものは何一つない。
一体何が目的なんだ?
『何で生徒会はダメなの!?俺はただリカと一緒にいたいだけなのに…っ』
……まさかね。
そんなはずはない。
「それと、この間はすいませんでした」
「……何ですか急に?」
「立夏くんが初めて生徒会室に来た日のことです。何も知らないくせに失礼なことばかり言って立夏くんには嫌な思いをさせてしまいましたね」
「………」
そう言って九澄先輩は顔を伏せた。
まさか覚えていたとは…。
てか嫌な思いさせた自覚はあったのか。
「主にヨージが」
「俺かよ!?」
未空もだよ。
「都合の良い話ですが、きちんと謝罪してからでないと立夏くんと仲良くなることは出来ないと思いまして」
「……まだそんなこと言ってるんですか?」
ピクッと、無意識に目尻が上がる。
「言いましたよね、もう構うなって」
「そうですね」
「じゃあこの状況は何?目見えてますよね?アンタ達がいるだけでこの騒ぎなんですよ。まともに飯も食えないってのにこれで仲良くなんてしたらどんな目に遭うか分かったもんじゃない」
「立夏くんはこれが嫌なんですか?」
「逆にこの状況が好きな奴なんているんですか?もしそんな奴がいるとしたら頭可笑しいんじゃねぇのって盛大に罵ってやりますよ」
「ふふっ、是非そうして頂きたいですね」
どうやら九澄先輩は人の神経を逆撫でするのが得意らしい。
こっちが態と顔に出して拒絶していると言うのに、当の本人はまるで空気が読めない人みたいに笑顔を崩さない。
いや、九澄先輩の場合は空気が読めるくせにあえて読もうとしないところが質悪い。
何より…、
「……何が可笑しいの?」
よくこの状況で笑っていられるな。
こっちはこんなにも拒絶していると言うのに。