本当の愛を知るまでは
7時過ぎのオフィスはいつものように誰もおらず、静まり返っていた。
花純はパソコンで早速リゾートホテルを予約する。
少し前にメールで送られてきた、旅行会社の社員向けのプランにアクセスし、無事に予約を済ませた。
改めてホテルのホームページを見てみる。

(すごいなあ、広くて一つの街みたい。屋内プールにショッピングストリート、レストランにブックカフェ、アクティビティルームにワインハウスもあるんだ。えー、お部屋に専用露天風呂もついてる。素敵!)

早速光星にホテルのURLを添付してメッセージを送る。
すぐに既読になり、返事が返って来た。

『ここ、前から行ってみたかったんだ。花純と行けるなんて、ものすごく嬉しい』

思わずふふっと笑みをこぼし『私もです』と送った。

「なに着て行こうかなあ」

気を抜くとほわーっと緩む顔を引き締めて、仕事に集中する。
終業後に光星から『当日は車で行こう。ワインとプールも楽しみだな』とメッセージが届いた。

「ワインと、プール!? え、水着がいるってこと?」

どうしよう、と急に焦り出す。

「水着なんて、もう3年くらい着てないかも? 新しく買わないと」

ホテルでも販売しているとホームページに書いてあるが、気に入ったものがないかもしれない。

「明日、仕事終わりに買いに行こう。いいの、見つかるかな」

花純はそわそわと、ひと晩中スマートフォンで流行の水着を検索していた。
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