Drive Someone Nuts
 そのアカウントを見守っているだけだった。情報は仕入れているけれど、それ以上の接触はしなかった。一枚の投稿で直接見たい、と思った。フォロワー限定の更新で脇腹のうっ血痕と見られる写真と彼氏に噛まれた、痛いと書かれた投稿がされた。薄い腹に男の所有物である痛々しいキスマークをSNSに載せる致命的な頭の悪さが今ここにいる女と重なった。失望もあったがそれ以上に興奮していた。あの女も若いころはそっくりだったんじゃないか?気になっているあの子のなれ果てはあの女の子なんじゃないのか。

 あの子のルーツであるあの女を知りたい。

 一人でいるあの女を尋ねたときに嘲笑うように言われたのが「狂ってる」だった。夕暮れを見ながらぼんやりと、くたびれたキャミソールの姿で外を見つめていた。父親が帰ってきたらすぐに女を犯すためにあえてこんなあられない格好でうろついているらしい。父親の残した鬱血痕が首元に赤く咲いている。自分のしようとしていることがばれた気がして、心臓の鼓動が大きく聞こえた。俺はゆっくり女の後ろに近づいた。振り向きもしない。
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