だから、あたしは
「練習しないと勘が鈍っちゃいますよ」

「練習なんて才能のない奴がすることだよ。僕は、試合に登板して結果を残せばいい。皆も納得しているからそれでいいんだよ」

 どこかダランとした物言いなのに、油断大敵って感じ。何なの、不思議な人だわ。

 何だろうな。この人は。

 奇妙なオーラ全開だわ。他の誰とも雰囲気が違う。

「はぁ、そうなんですか……」

 何だか掴みどころのないキャラクターなんだけど、極悪人のようにも見えない。

 今後、この大河内が人生に濃密に関わることになるのだが……。

 まさか、この時、あたし達の不思議な未来を彩る運命の種が蒔かれていた事に気付いていないかった。でも、今思うと、波乱の予感のようなものは、心のどこかで感じていた。
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