だから、あたしは
9 放課後デビュー
えっ、この人は誰なの? あたしはキョトンとしていた。
「みんな、集合してくれ。みんなに紹介したい人がいる」
放課後。大河内の声を合図に集まった部員が、突然、現れた西島先生の美しさにポヨヨンと惚けている。
産休の女教師の代わりに赴任している非常勤講師の西島先生が、大河内が獲得したマネージャーになってくれた。有限実行ね。
「うっひょーーー。夢みたいだよな」
「西島先生をよく獲得できたよな! サッカー部もバスケ部も柔道部も狙っていたんだぜ」
「さすが大河内さんだよな」
皆の前で大河内が不服そうな顔つきの鈴木に告げた。
「西島先生を獲得するには山田くんがマネージャーでは困る。西島先生が必要ないって他の部から責められるからね。山田くんのことは選手に変更するけどでいいよね」
そう言われるた鈴木は唇を噛み締めている。鈴木は大河内には強く言えないようだ。
嬉しい事に洗濯機が水場に運び込まれた。西島先生の実家の中古品たと聞いているが、大きくて一変にたくさん洗える。
遠征試合の時は、西島先生がお茶の用意をしてくれる。それなのに、騎士は気難しい顔でムッツリと黙り込んでいる。あたしはランニングしながら菊太郎に聞いてみた。
「みんなウキウキしているのに、騎士は嬉しくなさそうね……」
西島先生が話しかけても、騎士は、どことなく戸惑い気味の表情を見せている。違和感を抱いていると、菊太郎が衝撃的なことを呟いた。
「まぁな。西島先生の妹が騎士の元婚約者だからなぁ……。なんとなく、気まずいんだろうなぁ」
「婚約者ってどういうこと! まだ高校生なのに!」
「いや、詳しい事は分からないけどさ。半年前に騎士の方から断ったみたいだぜ。今でも、妹さんは騎士のことを諦めていないらしいけどな」
婚約者? 何かモヤモヤとしたものが生まれて黒い影を広げている。悶々としながらグランドの外周を走り続けるが、胸が苦しくなってきた。
併走していた菊太郎が申し訳なさそうに背中をポンと叩いて追い越している。
「いずみ! わりぃ、先に行くぜ」
ずっと、騎士は集団の先頭を走っている。ああ、こんなに走ったのは久しぶり。
あらあら。ランニングの後、ポツンと一人ぼっちになってしまってる。誰もあたしに近寄ろうとはしないものだから、居心地の悪さを持て余していた。ストレッチやキャッチボールのパートナーがいない。審判をしている生徒に声をかけると彼等は申し訳なさそうに首を振った。
「すまん! おまえのことは無視しろって鈴木先輩から言われている」
「鈴木……」
あたしを孤立させるつもりなのね。クソーッ。負けるものか。あたしが対抗心を燃やしていると、ストレッチをしていた人達がざわめき始めたのだ。
「うわっ! 何で大河内さんが来るんだよ?」
「みんな、集合してくれ。みんなに紹介したい人がいる」
放課後。大河内の声を合図に集まった部員が、突然、現れた西島先生の美しさにポヨヨンと惚けている。
産休の女教師の代わりに赴任している非常勤講師の西島先生が、大河内が獲得したマネージャーになってくれた。有限実行ね。
「うっひょーーー。夢みたいだよな」
「西島先生をよく獲得できたよな! サッカー部もバスケ部も柔道部も狙っていたんだぜ」
「さすが大河内さんだよな」
皆の前で大河内が不服そうな顔つきの鈴木に告げた。
「西島先生を獲得するには山田くんがマネージャーでは困る。西島先生が必要ないって他の部から責められるからね。山田くんのことは選手に変更するけどでいいよね」
そう言われるた鈴木は唇を噛み締めている。鈴木は大河内には強く言えないようだ。
嬉しい事に洗濯機が水場に運び込まれた。西島先生の実家の中古品たと聞いているが、大きくて一変にたくさん洗える。
遠征試合の時は、西島先生がお茶の用意をしてくれる。それなのに、騎士は気難しい顔でムッツリと黙り込んでいる。あたしはランニングしながら菊太郎に聞いてみた。
「みんなウキウキしているのに、騎士は嬉しくなさそうね……」
西島先生が話しかけても、騎士は、どことなく戸惑い気味の表情を見せている。違和感を抱いていると、菊太郎が衝撃的なことを呟いた。
「まぁな。西島先生の妹が騎士の元婚約者だからなぁ……。なんとなく、気まずいんだろうなぁ」
「婚約者ってどういうこと! まだ高校生なのに!」
「いや、詳しい事は分からないけどさ。半年前に騎士の方から断ったみたいだぜ。今でも、妹さんは騎士のことを諦めていないらしいけどな」
婚約者? 何かモヤモヤとしたものが生まれて黒い影を広げている。悶々としながらグランドの外周を走り続けるが、胸が苦しくなってきた。
併走していた菊太郎が申し訳なさそうに背中をポンと叩いて追い越している。
「いずみ! わりぃ、先に行くぜ」
ずっと、騎士は集団の先頭を走っている。ああ、こんなに走ったのは久しぶり。
あらあら。ランニングの後、ポツンと一人ぼっちになってしまってる。誰もあたしに近寄ろうとはしないものだから、居心地の悪さを持て余していた。ストレッチやキャッチボールのパートナーがいない。審判をしている生徒に声をかけると彼等は申し訳なさそうに首を振った。
「すまん! おまえのことは無視しろって鈴木先輩から言われている」
「鈴木……」
あたしを孤立させるつもりなのね。クソーッ。負けるものか。あたしが対抗心を燃やしていると、ストレッチをしていた人達がざわめき始めたのだ。
「うわっ! 何で大河内さんが来るんだよ?」