だから、あたしは
「大河内さんが、おまえと一緒にいるのを見るとムカつくんだよ。あの人は陰陽師の子孫だっていう噂がある。色々と不思議なことを起こせるらしい」

「陰陽師! わおっ! すっごーーーい」

「皆、あの人のことを敬遠している。予言めいたことを口にすると必ず当たる。それで、みんな、何となく敬遠している」

「ふうん。でも、キャッチボールの最中に怪我しちゃうような人なんだよ。ボールが肋骨に当たった瞬間は本気で痛がっていたわよ。予知する能力なんてなさそうに見えるよ」

「俺はそうは思わないな。あの人は、おまえの関心を引く為に負傷したんだよ」

「やーだ。そんなの考え過ぎだよ!」

 すると、騎士は少し寂しそうに呟いた。

「つーかさぁ、あの人は、おまえのことが本当に好きなんだよ。あの人といれば、おまえも安全だよな……」

 長い睫を揺らしながら視線を足元に落としている。なぜか、脈絡の無い不安広がっていた。胸がツンと痛いのはなぜだろう。

 いつのまにか日が暮れている。黙ったまま二人でバスに乗り込んだ。

 この街には、コミュニィー・バスというものがあり、市役所や病院、大きなスーパーといったところを巡回している。

 あたし達を乗せた小型のまバスが村へと続く道を走っていた。騎士は何も言う事もなく気難しい顔つきで窓の外の様子を見ている。

 空気が詰まったようになり気まずさが降り積もっている。なぜ、こんなふうに騎士が機嫌になっているのか理解できなかった。
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