だから、あたしは
総合病院は村から電車で半時間ほどの位置にある。寮生も、休日に買い物をする際にはこの街まで足を伸ばす。あたしはヒラヒラとした足取りで夜の街を歩いていた。
「おい! おまえ、山田いずみだろう!」
聞き覚えのある嫌味な声に身構えずにはいられなかった。振り向くと桃園と目が合ってしまった。買い物をした帰りなのだろう。桃園は大きな紙袋を提げている。
「確かに山田ですけど……。あなたは誰かしら? あたしと弟を間違えていてませんか?」
誤魔化そうとして微笑んでみたのが、こいつには通用しないのね。
桃園が何か疑うようにジロリとねめつけながら言う。
「臭い芝居するなよ! 山田いずみ、そんな格好でウロウロするな。誰かに見つかったらどうするんだよ。さっさと帰れよ!」
「どうして、そんなに偉そうに言うのかしら?」
「僕は普通だぞ。偉そうになんてしてないぞー。この辺りは、あいつらの遊び場なんだぞ。帰らないと酷い目に合うぞ。僕は、ちゃんと忠告したからな。とっとと帰よれ! 命令だ!」
「そんなことを言われても困るわ。あたし、弟のいずみじゃありません。あいつらって誰のことですか?」
「本田だよ。あいつらが歩いているのを見たんだよ。悪い事は言わないから本田に見つかる前に帰れ! でないと大変な事になるぞ」
桃園は、それだけ言い捨てると着屋へと入ったんだけど……。何なのよ。
変な奴ねと思いつつ、あたしはショッピングを開始していた。フランスの片田舎風のインテリアが素敵な雑貨店があるんんだもの。ワクワクしちゃう。台湾産の高価なウーロン茶、フランス製の石鹸、南米の岩塩など世界各国の品物があったので吟味していく。ああ、楽しいよう。
高級ウーロン茶を二百グラムほど買ってから御機嫌なまま店を出ていく。
ランラン。次は、どこに行こうかしら……。
駅裏の東側はお洒落な店が多い。細い道に入ると背の高い二人の男の姿が見えた。ナンパでもするつもりなのか百メートル先からこっちを見ている。ああいう奴等は無視しよう。そう考えて俯いて歩いていたのだが、擦れ違いざまに肩を小突かれていた。
「マジかよ! オカマの山田だぜ。こんなところで何やってんだぁ?」
大嫌いな本田の声に背筋がゾッとなり吐き気がしてきた。
ヘラヘラと薄笑いを浮かべたまま加藤が揶揄するように囃し立てている。
「こんな格好をして男にナンパされるのを待っていたのかよ! 無駄だぜ。誰も、おまえなんて相手にしねぇよ! 必死になって女になろうとあがいてもオカマはオカマだ。バレちまうんだよ!」
すると、本田があたしのスカートをめくりながら笑った。
「加藤、見ろよ。女物のパンツを嬉しそうにはいてやがる」
「やめてよ。警察を呼ぶわよ。あたしは山田アリスよ!」
「おい! おまえ、山田いずみだろう!」
聞き覚えのある嫌味な声に身構えずにはいられなかった。振り向くと桃園と目が合ってしまった。買い物をした帰りなのだろう。桃園は大きな紙袋を提げている。
「確かに山田ですけど……。あなたは誰かしら? あたしと弟を間違えていてませんか?」
誤魔化そうとして微笑んでみたのが、こいつには通用しないのね。
桃園が何か疑うようにジロリとねめつけながら言う。
「臭い芝居するなよ! 山田いずみ、そんな格好でウロウロするな。誰かに見つかったらどうするんだよ。さっさと帰れよ!」
「どうして、そんなに偉そうに言うのかしら?」
「僕は普通だぞ。偉そうになんてしてないぞー。この辺りは、あいつらの遊び場なんだぞ。帰らないと酷い目に合うぞ。僕は、ちゃんと忠告したからな。とっとと帰よれ! 命令だ!」
「そんなことを言われても困るわ。あたし、弟のいずみじゃありません。あいつらって誰のことですか?」
「本田だよ。あいつらが歩いているのを見たんだよ。悪い事は言わないから本田に見つかる前に帰れ! でないと大変な事になるぞ」
桃園は、それだけ言い捨てると着屋へと入ったんだけど……。何なのよ。
変な奴ねと思いつつ、あたしはショッピングを開始していた。フランスの片田舎風のインテリアが素敵な雑貨店があるんんだもの。ワクワクしちゃう。台湾産の高価なウーロン茶、フランス製の石鹸、南米の岩塩など世界各国の品物があったので吟味していく。ああ、楽しいよう。
高級ウーロン茶を二百グラムほど買ってから御機嫌なまま店を出ていく。
ランラン。次は、どこに行こうかしら……。
駅裏の東側はお洒落な店が多い。細い道に入ると背の高い二人の男の姿が見えた。ナンパでもするつもりなのか百メートル先からこっちを見ている。ああいう奴等は無視しよう。そう考えて俯いて歩いていたのだが、擦れ違いざまに肩を小突かれていた。
「マジかよ! オカマの山田だぜ。こんなところで何やってんだぁ?」
大嫌いな本田の声に背筋がゾッとなり吐き気がしてきた。
ヘラヘラと薄笑いを浮かべたまま加藤が揶揄するように囃し立てている。
「こんな格好をして男にナンパされるのを待っていたのかよ! 無駄だぜ。誰も、おまえなんて相手にしねぇよ! 必死になって女になろうとあがいてもオカマはオカマだ。バレちまうんだよ!」
すると、本田があたしのスカートをめくりながら笑った。
「加藤、見ろよ。女物のパンツを嬉しそうにはいてやがる」
「やめてよ。警察を呼ぶわよ。あたしは山田アリスよ!」