だから、あたしは
「関係ない! 俺は何もしていないぜ! 悪いのは本田だ! 俺は何もしてないぞ!」
悪夢から逃れるかのように加藤は部屋を飛び出している。慌てふためく加藤は携帯を玄関口に落としたことに気付いていない。
「チッ。チキン野郎め」
これで一対一。しかし、本田は肩の筋肉も強い。本田に抵抗することは難しい。どうすればいいのだろう?
痛みや涙のせいで視界が曇っている。あたし、額を切っちゃったのかな。いや、違う。ヌメっとしたたっているのは鼻血だわ。視界が水に浮くクラゲのようにぼんやりしている。助けて! 誰か助けて……。
ここは密室なのだ。自分で何とかするしかない。死ぬ気で闘うしかない。
あたしは壁にもたれたまま、ゆっくりと立ち上がった。挫けそうになりながらも、最後の力を振り絞っていた。本田が、あたしの顔に鼻先を寄せてヘラヘラ笑っている。
この瞬間、あたしは本田のチンコを蹴り上げていたのだ。えいやーーー。
「て、てめぇ! 何しやがる! ぐっ……」
本田が腰を落として股間を押さえてよろめいている。あたしは座り込んだまま後退していく。
股間の痛みにムカついた本田が、あたしを殴ろうとしたのだが、唐突に何者かが戸口に現れたのだ。
薄暗いので、誰なのか分からないが、その人は右手に金属バットを握って振り上げているようだった。
「ぐっ……」
不思議そうに本田が振り向く前に側頭部に金属バットがめりこんでいる。本田は憤怒の顔つきで振り向こうとしているが、意識が途絶えかけている。桃園は、たたみかける様にして、また顔面を殴ったものだから、白目をひん剥いて仰向けのまま失神している。
あたしは痛みこらえてグツと仰ぎ見ながら問いかけていく。
「も、桃園。なんでここに……。どうしてここが分かったの?」
「もちろん、おまえのあとをつけたのさ。僕は、昔、ここで散々な目にあった。こいつは性悪の変態だ。僕を殴り倒した時の映像もここにあるはずだ」
本田のパソコンに自分のUSBを射し込むと、データを移転させた。その合間に、本田のスマホを探し出したかと思うと、あいつの指を押し付けてパスワードを開くとスマホの中のデータも探り始めた。
やってることはデータ泥棒だわ。でも、そうするしかないのね。それをザッとリュックに突っ込むと、パソコンやテレビ等の電化製品を幾つか壊ていった。
正気とは思えない。ええーーー。何をやっているの?
「山田、逃げる準備をしろよ!」
強引に脱がされたせいでボタンは消失している。歩くと肩がストンと落ちそうになる。すると、桃園は、古着屋で買った綿シャツを紙袋から取り出しながら差し出した。
「これを着ろ。早くしろ」
あたしは素直に頷くと桃園のチェック柄のシャツを素早く羽織って外に向かった。
悪夢から逃れるかのように加藤は部屋を飛び出している。慌てふためく加藤は携帯を玄関口に落としたことに気付いていない。
「チッ。チキン野郎め」
これで一対一。しかし、本田は肩の筋肉も強い。本田に抵抗することは難しい。どうすればいいのだろう?
痛みや涙のせいで視界が曇っている。あたし、額を切っちゃったのかな。いや、違う。ヌメっとしたたっているのは鼻血だわ。視界が水に浮くクラゲのようにぼんやりしている。助けて! 誰か助けて……。
ここは密室なのだ。自分で何とかするしかない。死ぬ気で闘うしかない。
あたしは壁にもたれたまま、ゆっくりと立ち上がった。挫けそうになりながらも、最後の力を振り絞っていた。本田が、あたしの顔に鼻先を寄せてヘラヘラ笑っている。
この瞬間、あたしは本田のチンコを蹴り上げていたのだ。えいやーーー。
「て、てめぇ! 何しやがる! ぐっ……」
本田が腰を落として股間を押さえてよろめいている。あたしは座り込んだまま後退していく。
股間の痛みにムカついた本田が、あたしを殴ろうとしたのだが、唐突に何者かが戸口に現れたのだ。
薄暗いので、誰なのか分からないが、その人は右手に金属バットを握って振り上げているようだった。
「ぐっ……」
不思議そうに本田が振り向く前に側頭部に金属バットがめりこんでいる。本田は憤怒の顔つきで振り向こうとしているが、意識が途絶えかけている。桃園は、たたみかける様にして、また顔面を殴ったものだから、白目をひん剥いて仰向けのまま失神している。
あたしは痛みこらえてグツと仰ぎ見ながら問いかけていく。
「も、桃園。なんでここに……。どうしてここが分かったの?」
「もちろん、おまえのあとをつけたのさ。僕は、昔、ここで散々な目にあった。こいつは性悪の変態だ。僕を殴り倒した時の映像もここにあるはずだ」
本田のパソコンに自分のUSBを射し込むと、データを移転させた。その合間に、本田のスマホを探し出したかと思うと、あいつの指を押し付けてパスワードを開くとスマホの中のデータも探り始めた。
やってることはデータ泥棒だわ。でも、そうするしかないのね。それをザッとリュックに突っ込むと、パソコンやテレビ等の電化製品を幾つか壊ていった。
正気とは思えない。ええーーー。何をやっているの?
「山田、逃げる準備をしろよ!」
強引に脱がされたせいでボタンは消失している。歩くと肩がストンと落ちそうになる。すると、桃園は、古着屋で買った綿シャツを紙袋から取り出しながら差し出した。
「これを着ろ。早くしろ」
あたしは素直に頷くと桃園のチェック柄のシャツを素早く羽織って外に向かった。