だから、あたしは
「昔、あいつがクラスで一番可愛い顔の子は誰かって聞いたのさ。それで、騎士が冗談で桃園って言った。その途端にむくれて僕のことをネチネチ苛めるようになった! 僕は、クソ女の恋を潰してやるぞ。あんな女より貧乳女のおまえの方がマシだ!」

 いつにも増して鼻息が荒い。目が三角に尖っている。

「いずみ。行くぞ」

 ヘンチクリンな展開だな。あたしを応援をするってことなのね?

 桃園の態度に対して困惑していると、大河内が軽妙に肩をすくめたのだ。

「逆らおうとしても違う力が君の手を引いて運命へと導くんだね。そこで何が起こるのかは、神のみぞ知るという感じだよ」 

「でも、あなたには未来が分かるんでしょう?」

「ああ、何となく分かる。不穏な空気が君に忍び寄ろうとしていることは分かっているよ」

「えっ?」

 言ってる意味は分からないけれど、大河内の焦燥感のようなものが、あたしにもリアルに伝わるような気がしてドキッとした。

 この人は、あたしを手放したくないと強く感じている。あたしとしても大河内を苦しめたくない。だからこそ、ここから動けなくなる。しかし、桃園がカフェのテーブル席まで来て腕を引いた。

「ほら、行くよ! 山田いずみ、騎士を奪還しに行こうぜ!」

 可愛い顔だが、こういう事になると桃園は強引なのだ。
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