だから、あたしは
22 運命の行方
参ったな。何とも予想外の展開である。大河内は、清潔な格子柄の大判のハンカチをあたしに差し出しながら、口を覆うように促がしている。さすがね。こういう時もジェントルマンだわ。
まさかの火事だよ……。
ライブどころではなくなったわね。
「ずいぶんと煙が出ているね……。火事だよね。少し離れたほうがいいね」
桃園が野次馬に尋ねるとビル周辺の住民らしく御婦人が教えてくれたのである。往来に看板が出ている。本日中止となっている。
「ライブが開演する前に上の階のバーでガスボンベみたなものが爆発して火事になってしまったわ。すぐに消したけど、何しろ、煙がひどくて……。水浸しになっちゃって、そのせいで、ここは使えなくなったのよ」
次に、あたし達はライブハウスの責任者らしき人に尋ねてみた。
「今夜、出演する予定だったズバンドの女の子達はどうしているんですか! アイリはどこにいますか?」
早口で喋っているのは桃園。すると、主催者の女性が硝煙の残る空間を見回しながら言った。
「こんな状態でしょう? 仕方がないからバンドの子達は帰ったわ。アイリは中止になったことがショックだったらしくて大声で泣いてハンサムな子に抱きついていたの。彼におんぶされて帰ったの」
帰ったのの。すると、すくさま。桃園があたしの手首を握って叫んだ。
「山田いずみーー! 急げぇーーーーー騎士の貞操の危機だぞ!」
「えっ、どういうこと?」
「あのクソぶりっ子女は家まで送らせて、騎士に眠り薬を入れて犯すかもしれないぞ。僕には、あの女のあざとい行動が読めるんだよ!」
「確かにアイリの家には誰もいないな。なるほどね。あの子は一途だからね……」
そう呟いたのは大河内である。
「でも、あたし達が押しかけるわけにもいかないよ」
「そんなの電話すりゃいいじゃんか! ていうか、僕が騎士に電話するよ! メールも送る。いずみ、ラインを送ってくれ」
あたしと桃園が行動に移したが返信はなかった。それを見た大河内がクールに呟いている。
「彼、電源のスイッチを切っているのかな」
騎士は、自分の意思で自宅まで送っていった。もしも、二人の中で何か芽生えたとしても、それはどうしようもない。
「ねぇ、大河内さん。ここにいても仕方がないから、もう帰るね」
「山田くんは本当にそれでいいの?」
「そりゃ。もちろん、色々と心配ですよ」
嫉妬の波。不安や疑念の海があたしを呑み込もうとしている。顔もカピカピに強張っている。
「それなら、僕がアイリに連絡してあげるよ」
そう言うと、大河内はいとも簡単に連絡をとってしまったのである。
「もしもし、アイリ? 今、どこ? あっ、うん、ライブ中止だね。残念だ。何、そこに誰かいるの? ああ、今、バスに乗るところ? 分かったよ。またね」
まさかの火事だよ……。
ライブどころではなくなったわね。
「ずいぶんと煙が出ているね……。火事だよね。少し離れたほうがいいね」
桃園が野次馬に尋ねるとビル周辺の住民らしく御婦人が教えてくれたのである。往来に看板が出ている。本日中止となっている。
「ライブが開演する前に上の階のバーでガスボンベみたなものが爆発して火事になってしまったわ。すぐに消したけど、何しろ、煙がひどくて……。水浸しになっちゃって、そのせいで、ここは使えなくなったのよ」
次に、あたし達はライブハウスの責任者らしき人に尋ねてみた。
「今夜、出演する予定だったズバンドの女の子達はどうしているんですか! アイリはどこにいますか?」
早口で喋っているのは桃園。すると、主催者の女性が硝煙の残る空間を見回しながら言った。
「こんな状態でしょう? 仕方がないからバンドの子達は帰ったわ。アイリは中止になったことがショックだったらしくて大声で泣いてハンサムな子に抱きついていたの。彼におんぶされて帰ったの」
帰ったのの。すると、すくさま。桃園があたしの手首を握って叫んだ。
「山田いずみーー! 急げぇーーーーー騎士の貞操の危機だぞ!」
「えっ、どういうこと?」
「あのクソぶりっ子女は家まで送らせて、騎士に眠り薬を入れて犯すかもしれないぞ。僕には、あの女のあざとい行動が読めるんだよ!」
「確かにアイリの家には誰もいないな。なるほどね。あの子は一途だからね……」
そう呟いたのは大河内である。
「でも、あたし達が押しかけるわけにもいかないよ」
「そんなの電話すりゃいいじゃんか! ていうか、僕が騎士に電話するよ! メールも送る。いずみ、ラインを送ってくれ」
あたしと桃園が行動に移したが返信はなかった。それを見た大河内がクールに呟いている。
「彼、電源のスイッチを切っているのかな」
騎士は、自分の意思で自宅まで送っていった。もしも、二人の中で何か芽生えたとしても、それはどうしようもない。
「ねぇ、大河内さん。ここにいても仕方がないから、もう帰るね」
「山田くんは本当にそれでいいの?」
「そりゃ。もちろん、色々と心配ですよ」
嫉妬の波。不安や疑念の海があたしを呑み込もうとしている。顔もカピカピに強張っている。
「それなら、僕がアイリに連絡してあげるよ」
そう言うと、大河内はいとも簡単に連絡をとってしまったのである。
「もしもし、アイリ? 今、どこ? あっ、うん、ライブ中止だね。残念だ。何、そこに誰かいるの? ああ、今、バスに乗るところ? 分かったよ。またね」