だから、あたしは
「本田は表向きはハワイに語学留学ということになっている。以前、桃園くんへの暴力を耳にした時、本田を喰らう悪鬼を抹殺しなければならないと思ったんだ。だけど、その時は敢えて実行しなかった」
「なぜですか?」
「呪術は悪意を根源している。だから、危険なんだよ。なるべく使いたくない。それなののに、本田は、君にも手を出した。本田を異国に追いやるべきだと思ったから、そういう形で本田を追い出したが、これでは根本的な解決にはならない。あいつは今後もやらかすだろう」
「あたしは、今後、本田の卑しい顔を見なくても済むのかと思うと清々します」
「いや、本田はまだ近くにいるよ。あいつは胸に黒い霧を溜め込んでいる。虎視眈々と君を狙っている」
狙う? えーーーっ。
大河内は、あたしの頭に手を置いてから目を閉じて瞑想するように呟いている。
「本田の悪意がこちらに迫っていることが分かる。よく聞いてくれ。君は狙われている。でも、君に災いが降りかかることはない……。その災いは他の者に転嫁させるから心配しなくていい」
大河内の表情のトーンが変化している。どう変わったのかという説明は難しいけれど、この世のどこかに飛んでいるような表情。盲人のような目付きで遠くにある何かを引き寄せるように告げている。
「予感がする。天啓が告げている。今夜から明日の午前中、君は、災いに見舞われる可能性が高い。だから、何があろうと外に出てはいけない。災いが起こる兆しがそこあるのが分かる」
大河内はすべてを許す様な優しい顔になっている。
「ヘブライ語でオニという言葉があるんだ。意味は、わたしを苦しめるもの。鬼からの攻撃をかわす為に僕が犠牲になるよ」
「えっ、どういうことですか?」
「例えば、頭上から飛行機が落ちてきたとしても僕が犠牲になる。君を最も愛している者が身代わりとなるようにと祈っている」
「身代わり?」
「神社で見た事はないかい? 息を吹きかけると災いが人形に移る。昔は、厄受けの人間が、身代わりとなって死ぬようにしていた。全ての厄を引き受ける巫女もいたんだよ」
「厄受けの巫女ですか」
澄子さんが愛してやまない韓流ドラマにそういうシーンがあったような気もする。身代わりの巫女に若き王様が恋するとか何とか……。うんうん、確か、そういう感じの内容だったわ。
「災いが君には降りかからないようにしておくよ。僕は祈っているから、君は平気さ」
大河内はそういう事も出来るのね。凄いわ。
「やってみせよう。さぁ、やるよ」
あたしの額に指先を添えて小難しい呪文を唱えている。長くかかるのかなぁと思っていたの。けれども、彼は、途中でおどけたように笑ったのだ。
「なーんて、冗談だよ。ねぇ、日曜までここにいてくれないかな?」
「はーい、もちろん。こちらこそ、よろしくお願いします」
「なぜですか?」
「呪術は悪意を根源している。だから、危険なんだよ。なるべく使いたくない。それなののに、本田は、君にも手を出した。本田を異国に追いやるべきだと思ったから、そういう形で本田を追い出したが、これでは根本的な解決にはならない。あいつは今後もやらかすだろう」
「あたしは、今後、本田の卑しい顔を見なくても済むのかと思うと清々します」
「いや、本田はまだ近くにいるよ。あいつは胸に黒い霧を溜め込んでいる。虎視眈々と君を狙っている」
狙う? えーーーっ。
大河内は、あたしの頭に手を置いてから目を閉じて瞑想するように呟いている。
「本田の悪意がこちらに迫っていることが分かる。よく聞いてくれ。君は狙われている。でも、君に災いが降りかかることはない……。その災いは他の者に転嫁させるから心配しなくていい」
大河内の表情のトーンが変化している。どう変わったのかという説明は難しいけれど、この世のどこかに飛んでいるような表情。盲人のような目付きで遠くにある何かを引き寄せるように告げている。
「予感がする。天啓が告げている。今夜から明日の午前中、君は、災いに見舞われる可能性が高い。だから、何があろうと外に出てはいけない。災いが起こる兆しがそこあるのが分かる」
大河内はすべてを許す様な優しい顔になっている。
「ヘブライ語でオニという言葉があるんだ。意味は、わたしを苦しめるもの。鬼からの攻撃をかわす為に僕が犠牲になるよ」
「えっ、どういうことですか?」
「例えば、頭上から飛行機が落ちてきたとしても僕が犠牲になる。君を最も愛している者が身代わりとなるようにと祈っている」
「身代わり?」
「神社で見た事はないかい? 息を吹きかけると災いが人形に移る。昔は、厄受けの人間が、身代わりとなって死ぬようにしていた。全ての厄を引き受ける巫女もいたんだよ」
「厄受けの巫女ですか」
澄子さんが愛してやまない韓流ドラマにそういうシーンがあったような気もする。身代わりの巫女に若き王様が恋するとか何とか……。うんうん、確か、そういう感じの内容だったわ。
「災いが君には降りかからないようにしておくよ。僕は祈っているから、君は平気さ」
大河内はそういう事も出来るのね。凄いわ。
「やってみせよう。さぁ、やるよ」
あたしの額に指先を添えて小難しい呪文を唱えている。長くかかるのかなぁと思っていたの。けれども、彼は、途中でおどけたように笑ったのだ。
「なーんて、冗談だよ。ねぇ、日曜までここにいてくれないかな?」
「はーい、もちろん。こちらこそ、よろしくお願いします」