だから、あたしは

 家に戻らなければならない理由もない。ああ、ここって落ち着くわ。極楽、極楽。大河内と一緒にバラエティ番組を見たり筋トレごっこをすることになった。

「いいかい。こうやって、脚が前に出た時、ボールを投げる腕はここだよ。リリースポイントの安定とフォームの崩れを改善するには、ネットに向けて投げ込むという方法があるよ。山田くんは、身体が右にズレる癖があるね。ほら、こういうふうに投げてみて」

「こうですか」

「そうそう、いいね」

 そんなふうにフォームのチェックなどをしているうちに自然と眠くなってきた。

「こらこら、ソファで眠ったら風邪をひくよ」

 大河内が、あたしを抱かかえて運んでくれた。ああ、このままじゃ駄目人間になっちゃう。極楽過ぎて、自堕落になっちゃうわ。でも、ここは居心地がいい。本当に癒される。

 という訳で、あたしは、そのまま子供みたいに寝入ってしまっていたのである。
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