だから、あたしは
24 衝撃
「何かしら? 煩いな」

 朝、イラついたかのように鳴り続けていた。騒がしいインターフォンの音で目が覚めた。

 黒を基調としている高級なベッドに横たわっている。サラサラとした質感のシーツ。あたしは一人ぼっちの状態でダブルベッドに寝ているのね。

 イタリア製のエレガンスが覚溢れる高価な家具。

 壁の絵画。

 ぢっちも大河内らしいモダンな雰囲気だ。

 難しい書籍だらけの本棚が壁一面に広がっている。ああ、あたしは大河内の自宅にいるのだ。欠伸まじりに背伸びしていると寝室に大河内がノックした。

「おはよう。山田くん、騎士くんが迎えに来たみたいだよ。一階の玄関ホールにいるんだけど、そこで待ってもらうのも申し訳ないよね。部屋まで来てもらうけど、いいよね」

 あたしは慌ててベッドから飛び降りると、ハラハラしたように尋ねていた。

「騎士が来たんですか? でも、どうして……。というか、ええっ、どうしよう!」

 すると、紺色のエプロンをかけたまま片手鍋を握っている大河内が苦笑したのだ。

「これから三人で昼食を食べるのも悪くないね。たくさん作ってるんだ」

「えっ、でも……」

 あたし、澄子さんに大河内の名前は告げたけれども住所は話してない。

 明け方近くまで、大河内と喋っていたせいなのか眠い。頭全体に霧がかかったかのようにボーッとしている。

 騎士が部屋に来るまでに、素早く着替えようと焦った。あれ、おかしいぞ。あたしの服が見当たらない。パンツ一枚になった状態でうろたえていた。

「大河内さん! あたしの服はどこですか?」

「ごめん。全部、洗濯中なんだよ」

「ええーっ、そんなぁー」

 とか言いながらも感心したわ。朝から、何て几帳面な人なのかしら。

「僕のシャツでよければ貸すよ。でも、デニムはサイズが合わないな。ちょっと待ってて、先にシャツだけでも羽織るといいよ」

 大河内が、クローゼットの奥を探っているとノックの音が響いた。

「悪いね。山田くん。騎士くんだよ。君、ドアを開けて対応してくれるかな?」

「あっ、はい」

 シャツを羽織っただけの状態で重厚なドアを開くと驚いたように目を開けている騎士が立っていた。騎士は、上から下まであたしを眺めると絶句した。そして、少し息を整えると、感情を抑えるかのように低く呟いた。

「そういうことなのか……。そういう事なのかよ!」

 はい? 言っている意味が分からない。

「騎士くん。誤解しないで欲しいな。山田くんは無垢なままだよ」

 えっ? そういう誤解なの? ええーーーーーーーーーー。

 騎士は、背後にいる大河内を睨むように見つめている。騎士の失礼な様子を見ているうちに腹が立ってきた。

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